「おー!!!じゃんっ!」 「あ、ブン太。おはよ」 「〜!マジすげーいいとこに♪ほらよっ!コレ。」 「ん???」 「U-17合宿のおみやげ♪」 U-17合宿が終わって最初の登校日のことだった。 夏休みの間は彼氏の幸村も含めて立海テニス部レギュラーたちは全員U-17合宿に参加。 合宿中はもちろん会えないから寂しかった。 久々に幸村に会えると思ってちょっとドキドキしながら登校していたら 幸村より先にブン太に出会ってしまった。 しかも何か手渡された。何だろう??? 「おはよう、ブン太に」 「お、幸村くんおっはよ!!」 「(幸村だ・・・!本物・・・!!!)お、おはよ」 「久しぶりだね。元気にしてたかい?」 「うん・・・っ。久しぶり幸村」 久しぶりに会う幸村にドキドキ。なんか緊張するなぁ。 「ところでブン太、U-17のおみやげって?」 幸村がそう言いながら私が持っているそれを指さした。 そうだった!ブン太のくれたコレ・・・なんだろう? 「とてもじゃないけどあの合宿所にはおみやげなんて言えるものは・・・」 「合宿所って山の上だったよね??おみやげって、まさか綺麗な落ち葉とかそんなんじゃないでしょうねー」 「まぁまぁー。開けてみろって☆絶対喜ぶからさっ」 ブン太が自信満々にそういうから、私は少し疑いの目を向けつつも ブン太がくれた紙袋の中身を取り出した。(やたら軽くて薄いのよね) なんだろう、とそれを取り出して私は目を丸くして声を上げることとなる。 「!!!!!!!!!!!ブン太!!!!!これっ・・・!!!!!!!!」 「ナイスだろぃ????俺!」 ソレを見て私は思わず嬉しそうな顔をしてブン太を見る。 ブン太も嬉しそうにニカッと笑う。幸村だけが状況を飲み込めていないようだ。 「うそーーーーーー!!!!なんで!?えっすごい!!!!」 「いや俺もまさかと思ったぜ??」 「ブン太抜かりない!!!!!本当にすごい!ありがとう!!!!!!」 「夏休み中、は留守番してくれてたしな〜。そのお礼ってことで」 「最高!」 そういうとブン太は「じゃーなー」といい先に校舎に向かう。 「、それは一体なんなの?すごく喜んでるね」 幸村は興味深そうに私の顔を覗きこむ。 そ、そんなにニヤニヤしてた!? 「これ!?これねー、キミ様のサイン!!!!」 「・・・・・・・・キミ様?」 「うんっっっ!ほら、スポーツ用品のCMに出てる高校生の!君島育斗!!」 「・・・ああ、そういえば・・・」 そう、ブン太がおみやげとしてくれたものはキミ様のサイン色紙だった! 私がキミ様をCMで見かけてから「かっこいい!」とはしゃいでいたのを ブン太は覚えていてくれたみたい。「キミ様って本当にテニスやってるんだって!しかもうまいんだって!」 と興奮気味に話して盛り上がったのを思い出した。 幸村は袋ごとキミ様のサインを手に取った。 そしてキミ様のサインを静かに眺める。 「君島先輩か。1軍メンバーとして確か合宿にもいたね」 「私も生見たかったなぁー!!!生キミ様・・・!!」 「キミ様・・・・ねぇ」 「あーーーーもうブン太最高!大事にしよっ♪」 「・・・。」 ・・・・・そこで私は気が付いた。 やばっ、キミ様のサインにテンション上がりすぎて幸村を無視してた!! 絶対今、機嫌悪くなったよね・・・!? 「ゆ、幸村!?違うからね!?確かにキミ様にテンション上がったけど、 今日私は幸村に会うのを何よりも楽しみにしてたんだからね!?」 「・・・」 「幸村に久しぶりに会えてすっごくすっごく嬉しいんだからね!?ホントだよ?」 「・・・」 やばーーーー!絶対怒ってる!!!!! 私がハラハラしていたそのときだった。 「フフッ、別に怒ってなんかないよ」 「へ・・・」 幸村はすごく可愛く笑ってそういった。あ、あれ? 「が会いたがってたのは十分分かったから」 「!」 「コレ、ブン太に頼んでたの?」 幸村は指に封筒を挟んでヒラヒラと揺らして微笑む。 な、何その封筒?キミ様のサインと一緒に袋に入ってたのかな!? 幸村からその封筒を受け取り中身を開けると。 「!!!!!!!」 U-17合宿の前にブン太に頼んでいた「合宿中の幸村の写真」!!! 同じ勝ち組同士だったためか、練習風景やご飯を食べている風景、試合中の様子、 いろんな場面が携帯で収められていた。 立海の勝ち組はブン太・柳生・赤也・幸村の4人と聞いてた。 柳生はそういうの頼んでもやってくれなさそうだし、赤也は忘れてそう、 となるとブン太しかいないって思ってお願いしてたんだよね・・・!!! まさか携帯じゃなくて現像されてくれるとは・・・!!!!! 「ごめん幸村・・・!でも合宿中の幸村が見たくてつい頼んじゃった・・・」 「ストーカーだよねコレ」 「本当だよね・・・!」 「でもこんな可愛いストーカーなら許すかな?フフッ」 可愛く笑う本物の幸村と、手元にある合宿中の貴重な幸村の自然体ショット。 キミ様のサインがどうでもいいと思うくらい 私はこの人に夢中なんだと気づかされた、そんな合宿明け初の登校日。 タイトルはキミ様と「君(幸村くん)」を対比。(18.1.3) |