「え?幸村って柳くんと付き合ってたの!?」


シーッ!!!声でかいよ!!!











恋が終わる音がした。


今、C組の幸村とF組の柳くんが付き合ってるんじゃないか疑惑が、 女子の中で話題だった。

なんでそんな噂が出てきたのかは分からないけど、
確かに言われてみれば幸村と柳くんは部活も一緒だし、 なのに休日も一緒に出かけたりしてるのを目撃してる女子もいる。 部活中も柳くんと幸村がよく打ち合わせてるのをよく見るし、 誤解を生むのも仕方ないのかな、なんて思ってた。


だけど今友達から聞いた話によると。。。



「聞いた話によると、A組の子がこの前幸村に告白したんだって。」

「ふんふん」

「そしたら、"悪いけど女の子に興味ないんだ"って答えたんだって!!!」

え゛え゛ーーーーーー!!!!!!

「あとこれも噂だけど、柳くんもこの前後輩に告白されたときにそれっぽい事言ってたとか・・・」

「嘘ぉ!?」

「これは、本物かもね・・・。」

「そ、そんなぁ・・・!!!」

お疲れ様でした、さん

ちょっとちょっと!勝手に終わらせないでよ!




はぁーーーーーーショック・・・・!!!!!

何を隠そう、私は幸村の事が本当に好きだからだ。

幸村とは実は同じクラス。
まだ退院したてで体が弱い時に、放課後に掃除当番だった幸村が1人で掃除してたのを見て、 私が手伝い始めたのが喋ったきっかけ。

それ以来、なんとなく幸村の事が心配で目で追ってた。
よく気にかけてたらそれがだんだん好きに変わってったって感じ。


最初は気にかけて手伝ってたりしてアピールしてたんだけど
だんだん私の素がバレてしまって、幸村に爆笑された時があった。
今思い返すと恥ずかしくて封印したい過去だけど、 それをきっかけに幸村も私に気さくに話しかけてくれるようになった。

この前なんて・・・
私が帰ろうとしてたとき、テニスコートで腕組んでる幸村がたってて・・・



(幸村、忙しそうだな・・・。まぁちょっとでも姿見れて幸せ!)



そう思ってコートを通り過ぎようとしたとき、



!」

(え!?)


「帰るの?」


「(ゆっ・・・幸村ーーー!)えっ、あ、帰り、ますとも・・・!!」

「ふふっ、相変わらず挙動不審だな。気をつけて帰るんだよ」

「うっうん!!!!!超気をつける!」

「フフッ。ばいばい*」

「―――――――!!!!」




めっちゃ可愛い笑顔でバイバイ、言ってくれたじゃないですか。

だからてっきり私の事気にしてるのかと思ってたのに・・・!!!


まさか柳くんと付き合ってたなんて・・・・・!!!!!!




言われてみれば、柳くんって綺麗だもんね・・・
顔だけじゃなくてスタイルもすらっとしてて綺麗だし、何より身のこなしや仕草が綺麗。

喋ってるだけで頭の良さが感じられるし、当たり前に頭も良いし
あの幸村が信頼を置くぐらい賢いんだろうし。
後輩の面倒見もよくて、ほどよく厳しくて・・・・・・・


私に勝てる要素なんて何もないわ・・・!!!



幸村も柳くんと喋ってるのが一番話しやすいみたいだし
もしこの噂が本当なら私はただの勘違い女じゃないですか・・・!

でも柳くんぐらい凄い人だったら幸村にもお似合いだし・・・・・・

いやいやいや。でも私男に負けたの!?

それはそれで悲しいよね・・・!!!でもまぁ柳くんならしょうがないの・・・かも・・・!




そんなある日の事だった。




(あ・・・幸村だ・・・)



廊下を歩いていると向かい側から幸村が歩いてきていた。
いつもならドキドキして「幸村と何か話せないかな」なんて期待してたけど・・・。
ショックを受けたとはいえ、やっぱり幸村を見かけると目で追ってしまう私。



(きっと今も柳くんのいるF組に向かうとこなんだろうな)



幸村の隣にはいつも柳くん。いなくてもいるようなもの!
そしてやっぱり2人楽しそうにしてるんだろう。ああ・・・付き合ってるのは本当なのね・・・






「・・・・・っえ!?」



悲しみにうちひしがれて、ぼんやり歩いていたらいつの間にか幸村とすれ違っていたみたいだ。 幸村はわざわざ呼び止めてくれたみたいだ。(う、嬉しい・・・!)



「あっ、どうも幸村・・・・・・ご機嫌いかがでございますでしょうか・・・!」

「相変わらずの天然さんだね」



言葉使いが面白かったのか幸村はふふっと笑った。
その笑ったとき、涙袋がぷっくり出るのが本当に可愛くて好き・・・!
でもだめだ。幸村は柳くんの事が好きだからね・・・



「あはは・・・!幸村、どしたの?私になんか用事とか?」

「え?」

「話しかけてくれたから」

「用事がないとに話しかけちゃいけないの?」

「!」



「いや、だってホラ、幸村はさ・・・!うん。幸村は大事な人がいるんだから、 構ってちゃだめだよね」

「・・・?」

「早く柳くんのとこに行ってあげなよ・・・!!!」

「・・・ちょっと言ってる意味がわかんないんだけど、どういう事だい?」



男同士で付き合ってるなんて知れたらだめだもんね!
そんな演技しなくてもいいよ幸村・・・!

私は辺りを見回して、小声で答えた。



「聞いたよ・・・!幸村、柳くんと付き合ってるんでしょ」

「!?」

「なんていうかさ・・・!!すっごく大変だと思う! ほら男同士だし、理解されないこともあると思うけど、でも 私はちゃんと分かってるから!!だから隠さなくていいから」

「・・・、キミ・・・」

「私は幸村が幸せだったらそれでいいって思ってるから!!」

ちょっと待ちなよ。何言ってんの?

「!!!!???」



幸村は本気で分かんないって顔をしていた。とぼけなくてもいいのに!!!



「今、物凄くツッコミどころ満載の事言われたんだけど、 俺と蓮二が付き合ってるって何?

「えっ!?女子の中で知らない人はいないよ!幸村、柳くんと付き合ってるんでしょ!?」

「・・・!!!俺が?蓮二と??」

「うん」

、」

「んっ?」

・・・・・・・・・バカ?



バカ!!??



「俺が何で蓮二と付き合わなくちゃいけないんだよ。俺も蓮二も男なの知ってるよね?」

「だってA組の人に告白されたとき、女の子に興味ないって言ったんでしょ!?」

「・・・・・・・それは、テニスを優先したいという意味でテニス部員がよく断るときに使う文言なんだけど」

そうなの!?

「そうだよ」

「えっ!?じゃあ付き合ってないの!?」




私が本気でそういうと、幸村は「そうだよ」と答えた。

なーんだ・・・!!!ただの噂だったんだ・・・・!!




「・・・もしかして、そんな噂を信じてたの?」

「うん!!!」

「・・・・ぷっ、くくっ・・・・・あははっ!面白いなぁ、本当に!」



幸村は私の目の前で大笑いしていた。
これで幸村に爆笑されるのは2回目だ。そんなにおかしかったかな!?



「そんなに笑わなくてもいいじゃんー!!」

「あははっ、ごめんごめん」

「柳くんって綺麗だし優しいし頭良いし、絶対負けると本気で考えたよ」

「負ける?」

「うん」

「なんでが蓮二に張り合うの?」

「ほら私幸村の事好きでしょ??だから柳くんと付き合ってると困るんだよ!分かる??」

えっ?

「だから、柳くんと幸村が付き合ってると困るって話だよ!」

「・・・いや、うん。続けて?



「柳くんみたいな人がライバルっていうのは誰もが嫌がるよ、きっと」

「確かに蓮二は凄く賢くて優しい人だけど・・・・・俺は付き合うなら蓮二みたいに何でもこなしちゃうやつは嫌だな」

「そうなの?」

みたいにちょっとバカで、一生懸命な子の方が好きかな」

「そっかー・・・。」



・・・・・・・・・



ん!?何この沈黙!
私が幸村の顔を見ると、幸村は眉を下げて苦笑いをしていた。



「・・・・・・、今ので何も気づいてないみたいだから俺もう行くよ」

「えっ?何に?てかどこに行くの??」

「・・・蓮二のとこ。」

「え!?私が気づいてないって何!?てかなんで柳くん!!??」



すると幸村は私に挑戦的な笑みを向けて、こういった。



「蓮二はも言ったとおり頭良いからね」

「そうだよね」

「おばかさんに物を分からせるには、どうしたらいいか聞きに行こうと思ってさ」



???????




「え!?私なんか言った??」

「言った言った。本当って天然だよね」

「・・・・・・・・??」

「この手の部員はテニス部にいないからな。蓮二に相談するよ」

「えっ!あっでも・・・・・・好きになっちゃだめだよ!

「ならないから安心して。」




タイトル「ditzy」は女の人に向けて使う「天然ボケだな」みたいな表現です(13.9.30)