これは柳のペンションで合宿をした日のこと話だ。 柳のペンションに毎年夏に合宿にいくことになっている私たち。 今年も例年によりやってきた。もちろんそれは「テニス合宿」として! 午前中は皆で練習していつも通りの合宿スケジュールをこなした。 んー!!!夏だし暑いけど皆いい汗かいてるよね! 私も皆のためにマネージャー業をせっせとこなした。 何より彼氏でもある幸村と一緒の合宿・・・! 2人きりの旅行、だなんて私たち中学生にはまだ無理な話な分、 こうしてプチ旅行気分を味わえるのはやっぱり嬉しい!! (合宿とはいえ、プチリゾート気分だよ!)(練習時間外はデートみたいだし!) 合宿メニューが終わったらそこから皆でご飯食べて、お風呂入って・・・ 私は女の子だから1人部屋だけど、あとの皆は2人部屋みたい。 だから夜は皆とトランプした後、23:00くらいに「じゃあまた朝に」と約束して別れた。 何よりいつもはこんな夜中まで幸村と顔を合わせる機会がなくて。 だから夜に「おやすみ」って幸村に言われたのはキュンキュンした。 (にこって笑っておやすみだって!!!)(合宿気分でテンションやばーい!!) 明日も早いし早く寝よう! 朝は朝ご飯も作らないといけないし! 朝、私は携帯のアラームで目を覚ました。 ぼーっとしていたけどすぐに身支度を始めた。 早く支度してキッチンで早めに作っておきたいしね。 それに皆のこと起こしにいったりしないといけないし! 少し急ぎ気味に支度を済ませて私は部屋をでた。 キッチン、キッチンっと・・・・ ・・・・・あれ? (キッチンに皆いる!?) 私がキッチンに向かっていると、ダイニングにレギュラーの皆が円になって何かを話していた。 あれー!?皆もう起きたの!!!??? でも、何か話してるみたい・・・・・・???? 「此処は蓮二、お前に任せた」 「む・・・。ずるいぞ、弦一郎」 「柳くんが一番差し当たりがなくて私も賛成ですが」 「柳生の言う通りぜよ。」 「皆、俺に押し付けるつもりか。いくら差し支えがないとはいえ、俺だって正直嫌だぞ」 「だーってよ。柳ぐらいだぜぃ!?」 「そうだぜ・・・。柳、頼むぜ」 「しかしだな・・・」 「つか同じ部屋だったんだし柳生が起こせば良かったんじゃね??」 「それは無理です。むしろ私は起こさないように支度をするのに大変だったのです」 何の話してんだろ・・・????? 「皆おはよう!何話してるの???」 「あ!!!!」 皆がばっとこっちを見る。 「あ!そっか、がいた!!!!!」 「そうだ!何で気づかなかったんだろ!がいたじゃん!」 「え!?(何の話!?)」 「さんですか。適任ですね。これなら丸く収まりそうです」 「ククッ、か。ならいけそうじゃの」 「だから何の話!?」 「頼みがある。」 「え?」 柳がすごく真剣そうな顔をしてこっちを見る。 え?柳にそんな改めて言われるって・・・・・・・何の頼み事・・・・??? 「は、はい・・・なんでしょう?」 「朝食の準備などはこちらで先に初めておく。だから」 「だから???」 「今から、精市を起こしにいってくれないか。」 (なーんだ!柳の頼み事ってそんなことかー!) 私は今幸村の部屋に向かっている。 そう、柳と皆のお願いとは「幸村を起こしてくれ」ということだった。 皆が私に「頼み事」っていうからどんなことかといえばそんなことだったわけね! 私は「そんなことなら全然いいよ!行く行く!」って答えて、今こうして部屋に向かっている。 むしろ幸村の寝起きってちょっと興味あるかも・・・。 なんか、幸村って隙を見せないイメージがあるから(後ろにも目があるしね!) 寝顔だとか無防備な姿を見れるっていうチャンスだもんね! 前に幸村の家に遊びに行った時、2人でのんびりお昼寝したけど そのときも私・・・幸村より先に寝て幸村の後に起きたし。 (幸村におやすみって言われておはようって笑われた) そう考えたら幸村の意外な顔が見れるって貴重かも。 「幸村ー!入るよー!」 私はコンコン!と幸村がいる部屋のドアをノックした。 (返事がない・・。珍しい、まだ寝てるのかな?) いつもなら「どうしたの?」って部屋から出てきそうなのになぁー。 まぁ今は早朝5:30。起床時間(集合時間)は6:00だから寝てても全然いいんだけどね。 幸村って意外とこういうとこきっちりしてないからなぁ。 約束の時間は守るし余裕ある行動するけど、意外と真田や柳ほどカッチリしてないというか。 病気とか薬のせいなのかな??なんか朝は苦手そう・・・。 「おじゃましまーす」 ノックをして1分たっても返事がなかったから、私は勝手に侵入することにした。 ドアをそーっと開けて部屋を覗く。 カーテンはしまったまま。朝日が部屋をぼんやり照らす。 柳生が寝ていたらしきベッドのふとんは綺麗に畳んであった。 もう片方には案の定幸村が寝ていた。 ・・・寝息たてて寝てる・・!!!! きゃー!!!!!本当に寝てる!!!!!! 幸村のことだ。タヌキ寝入りをしているのかと思って近づいてほっぺをつついてみるけど、 本人は一向に起きない。すやすやと寝息を立てて本当に寝ていた。 あまりに新鮮なその姿に私はニヤニヤしてしまう。 (か、かわいいー!ちょっと髪ぐしゃぐしゃ!)(寝顔もお綺麗なことで・・・!!) このまま幸村を起こすのは可哀想だけど・・・でも一応起こさないとね。 なんか真田が6:30集合を6:00に切り上げて30分早く練習したい、みたいなこと言ってたし。 (ちなみに今、真田は赤也を起こしに行きました) 私もだから、幸村起こさないとね! 「幸村ー???朝だよー!起きて」 「・・・・」 「ゆーきーむーらー。おはよ☆」 無 反 応 ! これはこれで虚しいぞ・・・!!!! ゆさゆさと幸村の体を揺すってみるけど幸村は起きない。 むしろ寝返りを打たれてしまってあっちを向かれてしまった。 「幸村ー、おーはーよー」 ・・・起きない。 よーし!こうなったら! 「幸村ー!起きてー!!!」 私はぼふっと幸村のふとんの上にダイブした。 そして幸村に覆いかぶさるようにして顔を覗き込んだ。 すると幸村は「ん・・・」と声を漏らしてふとんをかぶった。 うわー!爽やかに目覚めそうなイメージの幸村が、普通の子みたい! 「幸村!真田が今すぐ起きてって!朝ご飯食べよう??」 「・・・・・・」 「起きてよ幸村ー!」 「・・・」 「ゆーきーむーらー???おはよー!おーい。おはよー☆」 「・・・・・。」 全然起きてくれない!!!!! 何コレ!本人、普段は爽やかな笑顔撒き散らしてるわりに全然起きないじゃん!! 幸村こんなに寝起き悪かった!? 「ねぇ!ゆきむ・・・・・」 と、その時だった。 「!!!!!」 急に、グイッと強い力で手首を掴まれ強い力でふとんの中に引っ張られる。 えええええええ!?なっ・・・・ 気がつけば私の視界は反転していて。 なぜか幸村と天井が見える。え・・・!!!!???? 「ちょっ・・・・幸村!?」 「・・・・さっきからうるさいと思ったら、か」 寝起き第一声の幸村の声は低かった。 (てか、え?うるさいって!?) 「お、おはよう幸村!朝だよ!」 「フフ。そうみたいだね。おはよう」 「おはよう!」 「で?どうしたの?まだ起きる時間じゃないだろ?」 「真田が30分切り上げてスケジュール組むって!だから起きて」 「・・・ふぅん。真田がね。」 今なんかすっごく不機嫌な顔しなかった!? てか、幸村の寝起きめっちゃ悪くない!? 「だから幸村、早くダイニングに行こ!」 「・・・なんで?」 「なんでって・・・!朝ご飯食べなくちゃ。だからほら手を離し・・・」 「・・・朝ご飯なんて後回しでいいだろ」 (は!?) 「・・・全く真田の張り切り具合にも困ったものだね・・・。俺の中で あと30分寝れるって計画してたからさ、その計画崩された気分で今物凄くイライラしてるよ」 「そ、そうだね・・・!真田には困っちゃうね・・・!ねぇ、手離して」 「もあと30分後に俺を起こしてたら、爽やかに朝を迎えれたのにね」 「・・・え?どういう・・・」 「それより、」 幸村はにっこりと笑った。や、やな予感・・・!!! 「朝から俺の上に乗ってくるなんて大胆なことしてくれるじゃないか」 「え!?」 「いつもは俺の下にいるから飽きちゃったのかな?フフ」 「ええええ!!??何の話してんのちょっと!!!」 「そんなにが俺の上に乗りたいなんて思わなかった。だから今から思う存分上に乗ってもらおうかなって思ってさ」 「は!?ちょっ・・・何考えてるの幸村!!ばかでしょ!!!」 「何って何?誘ってきたのはそっちだろ」 「さ、誘ってない!!!私はただ起こしにきただけで・・・」 「フフ、6:00までに集合すればいいんだろ?じゃあそれまでには終わらせてあげるから」 幸村はにっこりと笑った。 窓の外からは爽やかな鳥の鳴き声が聞こえる。 こんな朝から何してんのこの人!!! 「そういう問題じゃないから!!!!離して!」 「恨むんなら真田を恨むんだね。30分俺を早く起こした罪は重いよ」 「だからって何で私が!」 「何でって・・・・・・・起こしたのはだから、かな?フフ!」 (だから皆幸村を起こすのを嫌がってたのかーーーー!) 「大丈夫、安心してよ。10分で「助けてーーーーー!!!!」 (11.7.26) |