「ん?なーんか今日部活の雰囲気違くね?」


そう言いだしたのはブン太。


「ああ、今日月刊プロテニスの人が取材に来てるからじゃない??」

「取材!?マジかよ!」

「うん。今日は立海の秘密に迫るんだって。」

「うわっ、俺今から準備してくるわ!」

「ちょっとちょっとちょっと!どこ行くの!」



ブン太は髪をセットしながら部室に戻ろうとした。



「だって取材だろぃ!?雑誌に載るなら尚更じゃん!!」

「いや載らないから!載ってもせいぜい"その他大勢"の風景の一部だよ!」

「ちぇっ、つまんねぇな。」

「何の話をしとんじゃ」

「おっ。仁王!いや、今月刊プロテニスの人が取材に来てるらしいぜぃ」

「おー。そういえばさっき見たのぅ。」

「マジかよ!」


「ねぇっ!先輩!!丸井先輩!仁王先輩もいた!」

「あ、赤也だ」

「どしたの??」



急にこっちに走ってくる赤也。なんか嬉しそう・・・



「知ってます!?今月刊プロテニスの人が取材来てるんっスよ〜!!」

「んな事知ってんだよ!」

「いててててっ!!!!」

「んで、俺達の取材って一体何をするつもりなんだろな?」

「あっ。大丈夫。取材は全部幸村が受けることになってるから!」

「!!マジか!!!!!」

「ほぅ・・・。幸村が・・・。」

「えーっ!!!!部長だけずるいっスよー。俺も取材されたいっス。 立海の期待のエース!!ってカンジで!」

「なんで幸村だけなんじゃ?」

「確かに。こういうのは幸村じゃなくて、いつも真田か柳がやってるしなー」

「だって今日のは、"立海部長・幸村精市の秘密に迫る!!"っていう特集だもん」

「「「は!!!???」」」



「なんだよそれ!!!!!!!」

月刊プロテニスっスよね!!!???

「確かに月刊プロテニスだけど、その雑誌の中の芝さんの担当ページだよ!知らない?」



私は「ほら!」と月刊プロテニスを3人に見せた。



「なっ・・・何だこれ!?"月刊イケメンテニス"!?」

「そうそう!芝さんがいろんなテニス部のイケメンを取材するっていうページだよ。 結構女の子に好評で、ずっと連載してるんだって。そのおかげで発行部数増えたらしいし」

うわ。芝さんの自己満足じゃん

「先月は青学の手塚くんだったよ」

「あー。そういや先月月刊プロテニス読んじょった真田が、叫びよったんはそのせいか」

「なるほど!!それに幸村部長が選ばれたんっスね!!」

「そうそう!まっ・・・幸村の記事なんか見なくても、私は幸村のこと何でも知ってるけどね!」

「出た。の幸村自慢」



「あーっ!!!!幸村部長がコートにきた!!!!」




私たちが話していると、幸村がコートに入ってきた。
その後ろには、芝さん。それと芝さんの面倒を見るために井上さん。

(多分井上さんは普通に立海のことを取材しに来たんだろうけど!)




「ねぇ、幸村くーん!!本当に答えてくれるー??」

「ええ。ですが俺の取材なんかしてもつまらないと思いますよ。」

「そんなこと言わずにぃー!」



「あれ?なんか芝さんあしらわれてね??」

「幸村、あれは答える気ないのぅ・・・」



にっこり笑顔で爽やかなんだけど、適当にあしらってる幸村。
(せっかくの取材なのになー)



「俺の何を知りたいんですか?別に誰も興味ないですよ、きっと」

「そんなことないわよー!アンケートで第1位だったんだから!」

「フフッ、そうですか。」

「幸村くん、あとで写真も撮るから今から簡単に質問に答えてくれる??」

「・・・わかりました。俺に答えれることなら何でも答えましょう」

「やった!!幸村くん、まずは誕生日と血液型と身長と体重を教えて!」

「3月5日生まれのA型、175cmで61kgです。」

「ふぅーん♪・・・じゃあ立海レギュラーの3年生の中で一番年下なのね!」

「フフッ。そうなりますね」





「あ、じゃあ俺が一番テニス部で年上じゃね!?」

「あっ。そっか、ブン太4/20だもんね」

「次は5/12の真田で、その次が6/4の参謀ってとこか・・・」

「仁王は12月だからジャッカルの次だな」

「え!?仁王先輩12月だったんスか!?」

「あっそっか。仁王12/4だよね」

「へへっ!なら俺の方が先っスね!!!俺9/25なんで♪」

「「「・・・・・・・・。」」」

「ん?」

「赤也、お前は俺らの1個下だろぃ!!!!






その後も芝さんの取材は続いた。
幸村はいろいろ答えていたみたい。

取材も順調に進んでるみたいだ。(ふふっ、雑誌が出来るのが楽しみ♪)


そしてそれから数十分後のことだった。






(・・・あれ?芝さんだ)




私がマネージャーの仕事をしていると、コートの外で芝さんを発見した。
なんか芝さんは肩をがっくり落としていて、井上さんがなだめてるかんじ。
どうしたんだろう???




「芝、そう気を落とすな。コラムのページを縮小すれば何とかなるだろ」

「でも井上先輩!アンケート第1位の幸村くんなんですよ!? これじゃあ楽しみにしてる読者の人に失礼じゃないですか!」

「それはそうだが・・・」



なんか、揉めてるみたい??



「井上さん、芝さん、お疲れ様です」

「・・・あ!ちゃん!」

「唐突ですけど、どうかしましたか??」



井上さんや芝さんとは何度も話した事があるし、私は普通に聞いてみた。



「んもー!聞いてよちゃん!!!幸村くんってばひどいのよ!!」

「え?幸村??」

「そう!!!!幸村くんって本っ当私のこと適当にあしらうのよ!?ひどくない!?」




・・・・・確かに幸村、芝さんのことナメてる気が・・・(本人には黙っておこう)




「はぁ。せっかくの取材なのに肝心なことは教えてくれないんだから」

「幸村、そんなに答えてくれなかったんですか?」

「基本的なことは教えてくれるけど、こっちが気合入れた肝心な質問は華麗に スルーされるのよ。生意気ー」

「あはは・・・」

「答えて欲しい質問、徹夜でこーーーんなに仕上げてきたのに、上手い具合にかわすんだもん! 幸村くん、強敵だわ・・・」



そういうと芝さんは凄い枚数の原稿(質問集)を封筒から取り出した。
(うわ・・・・・!!!)(すっごい数・・・!!!)



「お前がこんなに恋愛系の質問をするからだぞ芝!」

「だってぇー!井上先輩!こういうのが人気なんですからっ」

「思春期の男の子がこんな質問、恥ずかしくて答えれるわけないだろ!」

「でもどうしても聞きたいんです!!うちの社内でも幸村くんの人気高いんですから!」



幸村の場合、それは答えれないんじゃなくて、本当に答えなかっただけだと思う。



「・・・とりあえず、立海の練習風景を写真にしてさっさと会社に戻るぞ。芝」

「ええー!これで引き上げるっていうんですか!?」

「もう十分だろ。一応真田くんや柳くんにも取材してネタはあるんだし・・・。 それにこの後会議があるのを忘れたのか?」

「えーっ!そんなぁ!・・・・・・あっ、・・・・・まってください井上先輩!」

「なんだ?」

「いい事考えつきました!!!!」




いい事・・・????

すると芝さんは私の顔を見てキラキラした瞳を向けてきた。




ちゃん!!!!!」

「はいっ・・・???」



ぎゅっと両手を握られる私。(や、嫌な予感・・・!!!)



ちゃんがいたわ!!!!ちゃんが代わりに質問してくれない!?

はい!?いやっ、言ってる意味がちょっと・・・」

「そうよ!!!!ちゃんがいたわ!!!だってちゃん、幸村くんと付き合ってるんだし マネージャーなんだしいいでしょ???」

「い、いやそうですけど・・・!!!でも幸村にコレを質問するのは私も怖いっていうか・・・!」

「お願いお願い!!!!!お礼は弾むからー!!!」


「・・・俺からも頼むよちゃん。コイツ、この取材終えないとうるさそうだから」

「井上さんまで・・・!」

「と、いうわけでお願いね!!!ちゃん!!!」

「え!ちょっと!!!!!」

「此処に返信用の封筒入れとくから、この質問の回答をうちの会社に送ってくれない!?」

「なっ・・・」

「それじゃお願いね!!!!!!」

「よし。時間だ。戻るぞ芝」

「じゃあねちゃん!!!!プロテニスの発行部数はあなたが握ってるわよ!!」

「いやいやいやいや!!!ちょっ!!!!」















・・・・・・というわけで。



?どしたんだい?俺と話したい事って・・・」



私は幸村を部室に呼び出した。
(こうなったら責任を負ったも同然だし・・・)



「いや、あの幸村に質問に答えて欲しくて」

「質問?俺が??」

「うん・・・」

「・・・フフ、読めた。もしかして芝さんの取材を俺が上手くかわしてたから、 代理で頼まれちゃった?」

「・・・・・うん。

「・・・あははっ、まさかに頼むとはね」

「幸村、そんなに適当にあしらってたの?」

「うん。全部"秘密"って答えておいたよ」

「・・・記者泣かしだね」

「・・・でもの質問なら答えてもいいよ。俺は」

「え!?協力してくれるの??」

「だって彼女だしね。彼女の頼みなら聞かないことはないよ」

「本当!!??すっごく助かる!!」

「だってこんな恋愛系の質問、他人に答えても面白くないだろ?フフ」




というわけで、私は芝さんの原稿通りに質問することになった。
幸村は足と腕を組んでイスに座っていた。




「じゃあまず・・・"好みのタイプは?"」

みたいな子がいいね!フフ」

「いや、そうじゃなくて・・・!!

「だってそうだから仕方ないだろ?」

「・・・"彼女はいますか?"」

「いるよ」

「"デートをするとしたらどこに連れて行きますか?"」

「うーん・・・そうだな、俺の家かな」

「へー。意外。幸村、美術館とか植物園とか行きたいと思ってたのに」

「まぁね。それもいいけど・・・やっぱりとヤ「次の質問しまーす



「じゃあ、"グッとくる女の子の仕草は?"」

「・・・俺はあれだな。の声が掠れた時好きなんだよね」

「え?私そんなことあったっけ??(風邪のときかな・・・)」

「うん。あったよ」

「じゃあ女の子の声が掠れた時が好きなんだね、幸村」

「うーん。・・・というより、ほら俺としてる時たまに感じすぎて声が掠れ何の話!!??


「もう!!!!幸村マジメに答えてよ!!!こんなの芝さんに見せれるわけないじゃん!!

「だから言っただろ?つまらないけど、それでもいいならどうぞって」

「どうするの!月刊プロテニスでこんなこと書かれてたら一生の恥だよ!!!」

「フフ。でもファンの子がいてくれるのは嬉しいけど、でも俺はが好きだからね」

「・・・・・・(サラッと嬉しい事言いだすんだから・・・!)」

「だめかな?」

「いや、嬉しいけど・・・!でもちゃんとマジメに答えてよ幸村・・・!まだこんなにあるんだから」

「わかったよ。ちゃんと答える」




すると幸村は私から封筒と質問の原稿を抜き取った。




「そんなことより、。俺がちゃんと答える代わりにキミは何してくれるんだい?」

「え?」




 や な 予 感 ・ ・ ・ !!!

にっこり笑ってるけど、何か企んでる顔・・・・・!!!!!!




「俺もにいろいろ質問攻めしてもいいかな?」


「ちょっ!!!!!!痛い痛い痛い!!!」




幸村は物凄い力で私の手首を握った。
え゛ーーー!!!!!!




「だって俺の事知りたいんでしょ?」

「いや、いいですいいです!!!!」

フフ、どこから攻めようか?

日本語通じてる!!!???

「質問に答えようか。?(にっこり)」










(さっすがちゃんの力ね!幸村くんの直筆でちゃんとまじめに答えてくれてる!)
(幸村はちゃんと答えたようです)(無事発刊された雑誌は売れたようです) (テニスに対するこだわりと、 彼女への一途な姿勢が大好評で、またファンが増えたそうです)(嬉しい・・・!!) (ブン太とか超冷やかしてきたけど、にやにやしちゃう!) (それと幸村はマジメに写真取材も引き受けてくれて、良い写真が撮れたって芝さん喜んでた) (幸村の腹チラとか校庭の花に微笑む姿とか、サービスショットばかりだった) (ちなみに後日、今話題の映画のペアチケットとお食事券もらっちゃった!) (次の特集は・・・四天宝寺の白石くんにしようかしら♪)



(11.4.8)