こういうと誤解をいろいろと招くかもしれないが、

俺は女の子の泣き顔を見るのが嫌いじゃない。


でも、実際に泣かれると。



・・・結構困るもんなんだね。











よく周りからは「綺麗な顔してるね」だとか、「女の子みたいに綺麗な顔!」と呼ばれるが、 俺は男だ。

確かに俺の顔は女っぽいと思う。声だって真田や蓮二に比べれば高いし、 物腰の柔らかさもあると思う。 皆がただ「女の子みたい」と勝手なイメージを持つためか、非力で 行動が女々しくてナヨナヨしい印象を持たれているみたいだが、俺はそんなことないと思う。


力だってあるし、女の子と比べれば体格だってゴツいと思う。
(病気で少しは筋肉が落ちてしまったかもしれないけどね)



・・・まぁそんなわけで俺も男だし、それなりにそういう事に興味があったりする。

とはいっても、本だとかDVDだとかには興味はあまりない。
一番俺の餌食になっているのはきっと、彼女のだ。



があまりに可愛いから、俺はいじめたくなってしまう。


いちいち仕草が可愛すぎるんだよ。
全部の動きが可愛いなって思うし、いちいちツボを抑えてくる。

俺がからかうと「幸村ー!」って怒るけど、なんだかんだでいいリアクションしてくれるし (その反応を見るともっといじめたくなってしまうよね。フフ) とにかくを見るといろいろと我慢ができなくなる。




「幸村、あの・・・」

「ん?なんだい?」

「顔、近い!」

「ふふっ、そう?」



今日は俺の部屋に遊びにきてもらっている。

2人でベッドに腰かけて俺は読書の続き、はファッション雑誌をひろげて、 仲良く会話をしていた。でも自分の部屋で、しかもベッドに座る彼女がいたら、 次第に我慢ができなくなるわけで。

気が付いたらの腰に手をまわして、顔を近づけていた。

それでもはファッション雑誌をひろげたままなのだけれど。


雑誌よりも俺に集中してよ、という思いを込め 俺は顔を近づけたついでに の首筋にちゅ、とキスをした。



「ひゃあ!」



急にキスをされたものだから、は予想通りの良いリアクションをしてくれる。
驚いて力が緩んだその隙に俺はの事を後ろに押し倒した。



「ちょっ、ちょっとタンマ!幸村!ストップ!」



聞こえないフリをして俺はまたの首筋に顔を埋める。
するとの膝に乗っかっていた雑誌がバサッと床に落ちた。



「ちょっと幸村・・・っ!ぁ・・・」



そんな可愛い声で俺の名前を呼ぶなよ。歯止めが利かなく、なるだろ?



「んぅ・・・っ・・・!・・・やめ・・・っ・・・」



嫌だと言われれば言われるほど、やめたくなくなる。
俺はの顎を掬いとり、黙らせるように強引にキスをした。
こうなってしまえば俺のモノ。

キスをしつつ、をベッドに上げる。
もう、逃がさない。

の制服のネクタイに手をかけしゅるり、と音を立てて外し 後ろに投げる。



「ゆっ、幸村お願い!今日はちょっとやめよう!?」

「フフ。どうして?」

「どうしてって言われてもそんな気分じゃないっていうか・・・」

「俺はその気分だよ」

「いやいやいや!私はそんな気分じゃ・・・っひゃあっ・・・」

「なら、その気にさせるまでだね」



のスイッチの入れ方は知ってるよ。
俺が此処をこうすれば、



「んっ・・・!」



ビクッと反応して、その気になるだろ??
他の男どころか、の家族も知らない俺だけが知ってるのスイッチ。
むしろ自身も知らないだろうね。俺だけがを支配できるんだ。



「・・・ぅ・・・・・やぁ・・・っ」

「ふふっ。そんな気分じゃないとは思えないくらい、良い声だね」



俺がそう言うとは口を両手で抑えた。そして必死に足を閉じようとして、 俺から逃げようとする。でも無駄だよ、。絶対に逃がさない。 目の前から潜り抜けようとするの肩をベッドに抑えつけた。
そして俺はまた首筋に顔を埋めて、彼女の首筋をつうっと舐め上げた。



「!?・・・・・んー・・・・・・っ」



まだ口を両手で押さえるのかい?
無駄な抵抗だね。もっといい声出せるだろう?我慢しなくてもいいんだよ。



「今日はなかなか強情だね、

「あっ・・・!やだっ、ちょっ・・・・・・あぁ・・・ん・・・」



俺がする事全てに良い反応を見せる。俺はその反応に興奮してくる。
が抵抗する事すら今の俺にとっては立派な興奮剤で、 俺の体温も上がってくる。反応、しちゃうよね。



「ふぅ・・・あぁ・・・・・っ・・・やぁ・・・やだぁ・・・」

「やだって、何が?」

「おねがい・・・!ゆきむら・・・」

「お願いされても困るね」

「んくっ・・・あ・・・」

「ちゃんと言ってくれなくちゃ分からないよ」



お願い、だなんて言うなよ。
は涙目で俺を見上げた。ああ、その潤んだ瞳を見て ゾクゾクしてくる俺はやっぱり変態なんだろうか。 もっとその目で俺を見て欲しい。もっと俺を飲みこんでほしい。

邪魔になったものを取り払って、俺はソコへ指を伸ばし先ほどよりもに甘い刺激を与える。


しきりに顔の向きを右に左にと変えてるね、俺を感じてる証拠だ。


どんな顔で俺を感じているのかが見たくて、俺は横を向くの顎を掬った。
の感じてる顔なんて、頭に焼き付けるくらい見た事あるし今更だけど
でもやっぱり見たくなるじゃない??


だけど、俺はこのの顔を見て目を丸くすることとなる。




「・・・・ひっく・・・ぐす・・・・」

「!!!!!!」




心臓がズキンと傷むくらい、驚いた。

だっていつもは頬を桃色に染めて、俺の事を潤んだ瞳で見つめてよがっているのに



「ひどいよ幸村・・・っ・・・・・うう・・・」



・・・!!!

完全に泣いている。いや、俺が"泣かした"。
涙の跡を頬に一筋つけて、は両手で涙をぬぐっていた。 そして「ぐすっ・・・」と鼻をすすりながら目元を腕で隠す。




「ご、ごめん・・・・・・・・」

「やだって言ったのに・・・・・っ」



俺は此処で自分がとんでもない事をやらかしたと思った。
まずい、と思って俺はの腕を引っ張った。

そこにあった彼女の顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。



「ぐすっ・・・・・!幸村なんかきらい・・・」

「ごめん・・・」



俺は泣くの頭にキスをした。
今までの泣き顔はそそるなと思っていたけれど、こんなに本当に泣かれるのは 初めてだ。髪を撫でて必死に機嫌をとろうと焦る俺。 するとはこっちを見てくれた。



「ばか」

「・・・悪かったよ」

「・・・・・本当に思ってる?」

「思ってるよ。・・・まさか泣かしてしまうとはね」



俺は今ひどく困惑しているんだろう。自分でも笑っている場合じゃないと分かっているのに、 に向けて呆れた笑顔を向けてしまった。情けないね。



「もー!・・・そんな顔して笑わないでよ幸村」

「何が?」

「・・・私、怒ってるんだからね。なのに許しちゃうじゃない」

「・・・??」



どうやらは、俺の笑顔にキュンときてしまったらしい。

そんな事で機嫌が直るのか、と俺は笑った。
するとは顔をプイッと横に向けて「ずるいよ幸村」と言った。



「私、幸村のこと好きだけど、強引な幸村はちょっと嫌い」

「フフ・・・どうして?」

「いつもの幸村じゃない気がして怖いの」



怖い?俺が?



「私は幸村のこと、ドSだし、人が嫌がる事大好きだし、いじめることに快感を覚えてる 人だって理解はしてるよ??」

「そうだね。よく分かってるね」

「だけど、やっぱり私のこともちょっと考えて欲しい」



・・・確かに今日はちょっとやりすぎたかな。
俺は少しだけ反省した。

そして「ごめんね、」といい頬に優しくキスをした。
すると彼女は顔をポッと赤くさせて、言葉を紡いだ。



「・・・ゆっ、幸村っていつもそうやって私のこと余裕かまして扱うよねっ」

「え?」

「私はいっぱいいっぱいなのに、幸村だけ余裕綽々でなんかずるい」

「余裕なんかじゃないよ」

「え・・・」

「俺はとする時はいつだって余裕なんかないさ。 それに、今泣かれて物凄く焦った」

「幸村・・・」

「ひどいことしてごめんね」



俺が謝るとは俺の首に手をまわして抱きついてくれた。
そして「そういってくれる優しい幸村が一番好き」と俺の耳元で囁いてくれた。

可愛いな。

自然と顔が緩んでしまう。

泣き顔もいいけど、やっぱりの笑った顔が好きだな。
(泣かせてしまったことは本当に申し訳なく思う)



「・・・許してあげる」

「良かった」



は幸せそうに微笑みながら、俺の顔に手を伸ばし横髪を耳にかけてくれる。 そんなが可愛くて俺はにキスをした。仲直りのキスだ。



「・・・・・・・続き、する?」






この翌日、結局俺に流されてしまったとは蓮二に漏らしていたらしいが、 「の顔は幸せそうだったぞ」と蓮二に言われ、俺も幸せな気分になった。

ワガママな俺に合わせてくれてありがとう、

俺はキミを目の前にすると我慢できなくなってしまうくらい、 余裕なんかないんだよ。子どもみたいに自己中だし、 思い通りにならないとつまらない。

俺を受け入れてくれてありがとう。

そんなキミを俺は愛してるよ。



(ねぇ蓮二、あたしって幸村に愛されてるのかな)(精市なりに愛してると思うぞ) (でも泣いてるの見て絶対喜んでたよ、幸村)(それは仕方ない) (結局いつも幸村に流されっぱなしだよね。いつかギャフンと言わせたいよね) (精市をギャフンといわせたときは、おそらく三倍にして返されると思うぞ) (・・・確かに)


(10.8.30)