「げ・・・・・!!!やってしまった・・・!!!」











まずい。

赤也の事を散々笑っておいて、英語のテストで28点という微妙な点数を取ってしまった・・・!!

まずい!まずすぎる!!!



私たち立海テニス部のモットーは「文武両道」。

テニスだけが出来るのではなく勉強においても常勝であれ、という テニス部共通のルールだ。実際、テニス部で頭の良い人はたくさんいる。 我らが参謀を始め、点取り虫の柳生(点取り虫っていったら怒るんだっけ) ブン太もなんだかんだで成績良いし、仁王だって良い。ジャッカルは努力家って感じで 並以上の点数は取るし、真田はああだから点数が悪いわけないし・・・

王者立海テニス部の頂点である、幸村ももちろん、成績優秀である。



私も、そんな王者の誇りを汚さないために頑張ってきた。
決して頭が良いわけではないけど、中の上くらいの成績はキープしてきた。

だけど・・・!!!




まさか英語の範囲を間違えていたとは思わなかった・・・!




テストが終わると決まってレギュラーで「テストの点数見せあい」が行われるんだよね。 とは言っても、赤点なんて取るのは赤也ぐらいなもんで ほとんどそれは「赤也への公開説教」と化しているのだけれど。

(ビッグ3からの説教はツライよね・・・!)(同情するよ赤也)



でもこのままじゃヤバイ。

28点のテストだなんて・・・・・・・


あたしも説教されるに決まってるじゃん!!!





どうやって誤魔化そう・・・!!!
「英語のテスト?まだ返ってきてないけど?」ってトボけようかな。
あ・・・ダメだ!同じクラスに柳がいた!!

説教される赤也を見て毎回お腹が痛くなるくらい笑っていたけど
これは本当にまずい・・・・・・・!!!笑いごとじゃない!



部活前、一番乗りの部室にて英語のテスト用紙を広げ、ハァとため息をついていたその時だった。




「あっれー!先輩じゃないっスかー!!」

(ギクッ!!!)



この声は・・・!!



「赤也!なんでここに!?」



私は持っていたテスト用紙を急いで鞄に詰め込んだ。
部室に二番乗りしてきたのは、赤也だった。



「何でここにって言われても・・・此処部室っスよ?」

「そ、そうだったね!あははっ」

「ところで先輩、テストの結果どうでした?」

「えっ??」

「ホラ・・・今日、絶対あるじゃないっスか。テストの点数確認!
俺聞いちゃったんスよ、昨日柳先輩が"そろそろ全クラスの全教科のテストが返されたハズだ" って!!だから今日・・・絶対ありますよ〜っ!」



赤也は心底嫌そうな顔をして耳をふさいでいた。
そりゃビッグ3に怒られ続けてたら嫌になるよね・・・



「って、先輩は関係ないですよね!だってホラ、テストの結果いつもいーし」

「そ、そうかな!」

「今回5教科の総合得点何点っスか?」



ええと、国語85点、数学81点、理科93点、社会90点、英語28点だから・・・



「377点かな!」

「すっげーーー!!!!じゃあ平均して75点くらいは取ってるじゃないっスか!」

「あははは・・・」



私と赤也がテストの話をしていると、続々と部室に皆が集まってきた。
そして10分もすると幸村と真田と柳も揃って、ついにテストの点数報告会がスタートした。








「ではまず、国語から」



真田が腕を組んでそう言う。私たちは円形に座っているから、位置的に 幸村→真田→・・・って時計回りに報告していく形かな。 となると私は幸村の隣だから最後の報告になるわけね。

やはり皆成績優秀者なだけあって、国語のテストの点数もハイレベルだった。
私も8割取れてるしいい線いったかと思ったけど、上には上がいるね。ブン太と柳なんて100点だし。 みんなの点数が良すぎるからか、赤也の点数がより低く聞こえる。 (赤也が点数を言った瞬間、真田の眉間にしわが寄った!)



報告はそのあとも順当に行われた。国語、数学、理科、社会・・・・・

今回理科のテストが難しかった事もあり、高得点を取っている私は ビッグ3に褒められてしまった。


だけどこの後英語の点数を言ったらどうなる事か・・・!!!





「では最後に英語だ。幸村」

「俺は97点。今回は自信あったんだ。フフ」

「俺は94点。まずまずの出来だ」

「うむ、俺は93点だ。先生の気まぐれで問題が変わったようだ。予想と問題が違っていた」

「俺は87点。まずまずじゃの」

「俺は80点。結構頑張ったぜ」

「へーっ!ジャッカル先輩外国の血が入ってんのに80っスか!?」

「関係ねーだろ!」


「私は98点です。少々単語のど忘れがあり・・・情けない結果です」

「へぇ柳生が英語で満点じゃないのは珍しいね。フフ」



ヒロシ・・・!!!あんた98点で情けない結果って・・・!!(どういう事!?)


それよりも70点低い私はどうなの!?



「俺は91。まっ所詮こんなもんだろぃ!」

「ふむ。皆頑張っているようだな。では次!!!赤也。」

「えっ!えっ・・・ハハ・・・・・ハーイ・・・」



真田と柳の目付きが変わる。完全に説教モードだ。
この時点の赤也のリアクションからして、今回のテストの結果が散々だったものと思われる。 赤也の点数は全体的に低かったし、英語の結果を聞いたら今までの分怒られるんじゃないかしら・・・。 うう!こわい!



「見せてみろ」

「確か赤也は前回の報告会で"次はちゃんと勉強する"と言ったな?」

「言いましたっけ・・・!」

「フフ。蓮二が言うなら間違いないな。ならそれに応じてちゃんと勉強したよね?赤也」

「ええ!?あはは・・・えっとそのー・・・えーと・・・」




こっ・・・・・ 怖ーーーーー!!!


隣のブン太は楽しそうに笑っていた。
仁王やジャッカル、も笑っている。

赤也は3人に言われ渋々鞄の中からぐしゃぐしゃに丸められたテストを取りだした。




「広げて見せてみろ」

「は、ハーイ・・・」



真田に言われテスト用紙を広げる赤也。
するとそこには。



「・・・・・・30点だと!!??」



赤也のテストには「30」という数字が書かれていた。



「へー♪赤也にしては高ぇじゃん」

「でしょでしょー!?丸井先輩いいトコ気付いたっスね!」

「どうせ記号問題が多くて勘で書いた答えが当たっただけじゃろ」

「う・・・!」

「仁王の言う通りだ。空欄を埋める問題や英作文はことごとく空欄のままだ」

「何度言ったら分かるんだ赤也!!!!!いつも点数が悪いのが分かっているなら 勉強しておけば良かっただろう!」

「ひぃっ!すみませーんっ!!!!

「大体30点などという微々たる点数で浮かれるんじゃない!!

「すんませんすんません!!!」

「30点なんて、同じテストを1年生の子が受けてもそれ以上取れる点数じゃないかな?」

「問題を見る限り、1年生で習う範囲が8割を占めている。つまり2年のお前なら 8割を取ることは容易かったはずだ。俺は3年だから難易度が分からないが、 この問題からして点数を取ることは可能だと思うが?」




めっちゃ怒られてるーーーー!!!!

どどどどっどうしよう・・・!


私・・・・赤也より低い点数の28点なんですけど・・・・・・!!!




その後の赤也はガミガミと3人に説教された。
いつもは笑いを堪えて赤也のショボン、とする姿を見るのが楽しいけれど 今はとてもじゃないけど他人事とは思えない・・・!!!

ショボンとした赤也と帰り道に皆で励ましつつラーメン食べに行くのがお決まりなのに・・・! これじゃ私もショボンとしちゃう予感・・・!(皆励ましてくれるかな・・・!)




「全く。たるんどる!」

「すみません!!!」

「なら最後に、見せてみろ」

「え・・・!」

「うむ。まぁなら心配ないが、赤也への見本ということで見せてやってくれ」

「ええええ!」

「うん。なら安心だね」




勝手にハードル上げられたーーー!!!




「あ・・・あははっ、えっと、それなんだけど・・・・・実は英語のテスト 教室に忘れちゃって☆」



すると全員が私の顔を「ん?」という顔を覗き込む。




「忘れたのか?

「あはははっ!そうそう!でも安心してよ、悪い点数じゃないから!」

「まぁの事だし点数が悪いワケねーよな」

「確かに。も点取り虫だしなー」



あれ!?これは見せなくても良い雰囲気!?
日頃の自分の行いに感謝だ。ありがとう!!!過去の私!!!

赤也には見せろ、とキツくせがんでいた真田ですら「まぁはいいか」といってるし、 柳も「今までのデータからしてが悪い点数をとるはずもないし、確認は不要かもな」と言ってる。 よしよし!見せなくても良さそうな雰囲気じゃない!


が、しかしその時だった。




「あれ?先輩!鞄に入ってるその紙、何スか?」

「えっ!?」

「なんか赤ペンの字が見えますけど」



し、しまったー!!!
どうやら赤也の場所から私のカバンの中身が見えてしまったらしい。
さっきとっさに隠した英語のテスト用紙が目に入ってしまったようだ。



がテスト用紙の端っこ折ってるって珍しーな」

「いままでのテスト用紙は折られていなかったが・・・。」

「もしかしてそれ、英語のテスト用紙なんじゃないか?」



ギクッ!!!



が折るってことは相当悪かったとか?」

「・・・・・」



ブン太が冗談っぽくそう言った。けど笑えなかった私は無言になってしまった。
その異変に気がついたのか、私の隣に腕と脚を組んで座る幸村が気がついた。
幸村は足を組むのをやめて、言葉を発した。




、見せて」

「え」

「それ、英語のテストだよね?」

「ちっちがうもん!!」

「嘘ついてるね、。いくら嘘ついてもバレるから。ほら」

「む・・・。、テストを出せ!」




私の点数が悪いことを察したのか、真田まで「見せろ」と言ってくる。
私が悪い点数をとったという疑惑が一気に浸透したのかレギュラーのみんなも私の事を覗きこんでくる。 きゃーーー!もう逃げられないーーー!!!(赤也のばか!!)




「やっやだ!!!絶対見せない!!!」



私は自分の鞄とテスト用紙を抱え込み、席を立って部室の隅へと逃げた。



「あーっ!!!先輩ズルイっすよ〜〜!!!」

「赤也が何と言おうとこのテストは絶対見せられないもん!」

「ククッ、やるねぇ。

「おいおい、悪い点数っつっても赤也よりは良いだろぃ?んな拒むなって」



全員が席を立ち、私の方を見る。でも私は皆と一定の距離を保った。



!!!嘘をつくとはどういうことだ!!いいから見せろ!!」

「べー!絶対見せない!」

!!!!」



真田が怒鳴る。けど負けない!
すると真田がこっちに近づいてきてテスト用紙を奪おうとする。



「見せないって言ったら見せない!」

!!」

「えいっ」

「あ!」




私は小さく折りたたんだテスト用紙を、スカートと自分のお腹の間に隠した。
テスト用紙を奪おうとしているとはいえ、 これならウブな真田は絶対取れないもんね!



「ひ、卑怯だぞ・・・!!!」

「取れるもんなら取ってみなさいよ真田・・・!」

・・・!!!」

さん・・・ハレンチです・・・!!」



真田は顔を赤くしていた。

「絶対取られないように」と私は後ろを振り向き、 テスト用紙を胸とブラジャーの間に隠した。
これで鉄壁!思春期の彼らが私に触れるはずがない。 特にくそまじめな真田と柳、紳士の柳生は触れないはず! ブン太と仁王と赤也とジャッカルは、「赤也慰めの会」のメンバーで 私の味方だからテスト用紙を奪うようなマネをするわけがない。


これで逃げ切れる!



が、その時だった。





「真田、変わろうか」



え・・・!!!?


私が完全に逃げ切れると思っていたその時、真田が私の前から横に退いた。
するとそこに現れたのは・・・



幸村・・・!!!



腕を組んで微笑む幸村だった。え゛・・・!!!!ちょっと・・・!!??




、テスト用紙を渡してもらおうか」

「・・・やだ!」



こ、怖い!!!けど負けない!!!



「俺はきみの彼氏だし、赤也ほど怒らないよ」

「赤也ほど・・・ってことはちょっとは怒るんでしょ!?」

「フフ。赤也も見せたんだ、ホラ見せて?」

「・・・・・・いや!」

「しょうがない子だね。なら・・・・・・」

「・・・!?」

「力づくで奪うしかないね」

「え・・・!」





そう言った瞬間、幸村は構わず私の方へとズカズカ近づいてきた。
ちょっ!ちょっと待って!!!
私は部室の隅から隅へと逃げるけど、幸村は何の躊躇もなく迫ってきた。そして。




「きゃあ!」



躊躇なく間合いを詰めた幸村は、表情一つ崩さず私の制服のシャツの下から 手を入れてきた。予想外の幸村の行動に私は思わず変な声をあげてしまった。
幸村の手の侵入を防ぐために幸村の手を掴んだのだけれど、 それ以上に強い力で幸村は迫ってくる。ダンッ!と壁に背中を押しつけられてしまった。



「ちょっ・・・ゆ・・・きむ・・・らぁ・・・・っ」



幸村はお腹をツゥッと撫で上げた。

そして背中に手をまわし、触れるか触れないかのギリギリの感覚で私の背筋も撫で上げた。 ちょっ、幸村どういうつもり・・・!?



「フフ。あれ?テスト用紙はどこだろうね?」

「!」



ゆっ・・・幸村!!!!分かってやってる!!!!

幸村はテスト用紙を探すフリをして私の体の敏感なところを触ってきてる!!



「ちょっ・・・と・・・幸村・・・!どういうっ・・・・・」

「おかしいな。がテスト用紙を隠すのが上手くて、どこにあるのか分かんないよ」

「嘘つき!絶対見えてたでしょ!」

「どこにあるのかな。フフ」



どこ触ってんの幸村ー!!!!(ばかー!!!)
皆の位置からは幸村で隠れて見えないだろうけど、幸村は私の体を めちゃめちゃ触っていた。もうそれはそれはいやらしい手つきで。



「っちょ・・・幸村・・・っ・・・!!いや・・・」

「うん?分からないな」

「やぁ・・・っ!ん・・・っ」



幸村が変なところを触ってくるから思わず変な声を出してしまった。
皆いるのにー!!!!!幸村が目の前に立っているから皆の事は 見えないけど、なんとなく空気で伝わってくる。

絶対みんな、固まってる。

終いに幸村はブラをのけ、昼間から触っちゃいけないところまで刺激してきた。 これにはさすがに私も「まずい!」と身の危険を感じ精一杯の力を振り絞って 「分かった見せるからーーー!!!」と叫んだ。でも。



の答案見つけたよ」

「!?」



幸村の人差し指と中指にはしっかりと折りたたまれた答案用紙が挟まれていた。
(いつの間に・・・!!!)(ていうか絶対わざとじゃん!)

息切れをした制服を正す私を無視して、幸村は答案を広げた。



「あはは!これじゃも隠したくなるよね」

「に、28・・・!?」

、たるんどる・・・!!」

「え゛ーっ!!!!が28点!?ありえねぇー!」

が28・・・!!!参ったな、データにはなかった」

先輩俺より悪いじゃないですか!!!」



赤也、意外と傷つく事言うじゃない・・・!!(はぁはぁ・・・!)



「フフッ、赤也は赤点を免れているけどは確実に赤点だね」

「う・・・!」

「大丈夫、安心して!には俺がみっちり教えてあげるから

「なっ!遠慮しときます!」

「残念ながら拒否権はないよ。なぁ真田!」

「う、うむ・・・」

、まぁその・・・いろいろと頑張れよ」

「ジャッカルまで!!」



と、この時私と幸村の目があった。
幸村はまるで明日に遠足を控えた小学生のように楽しそうな眼をしていて、 私に微笑みかけてきた。この笑顔だけ見てれば可愛いのに、 今の私には逆に恐ろしく見える。

はー・・・

今度からテスト範囲はまじめに聞いておかなくちゃね・・・・・!!!




「ところで皆!」

「どしたんだよ幸村?」

「ピヨ」



幸村が急に皆を呼び止めた。どうしたんだろう?



「俺のの可愛い声を聞いたよね。今日は全員、パワーアンクルの負荷をいつものプラス10kgで行こうか」

(((((((え゛え゛ーっっっっ!!!)))))))



あ、あははははは・・・・・(ごめん皆)(巻き込んで申し訳ない・・・)




(でも案外可愛かったな!)(さん・・・!色っぽかったですね) (お、柳生もそんな事を思うんじゃのぅ)(先輩、なんかエロい・・・!) (見ろよ、真田の耳、未だに赤いぜ)(が真田を赤く染めてるぜ!) (の声、か。いいデータが取れた)








PRECIOUS//MEG(10.8.4)