、おはよ」

「あ!おはよう蔵!ついでに謙也」

「誰がついでや」




ナチュラルに自分を無視して2人の世界に入る白石とを見て、謙也は顔をしかめた。
教室に向かう途中の廊下で会っただけなのに相変わらずのナチュラルバカップル。




「あ、ちょうど良かったわコレ。はい」

「ん?」



突然白石が手に持っていた紙袋をに手渡した。
は「?」と不思議そうな顔をしたが、紙袋を見て何かがわかったのかパアッと顔を明るくさせた。



「!!!えっ、蔵いいの!?嬉しい!!!!!」

「もちろん♪そのために買ったんやから」

「???何なんソレ」



謙也も不思議そうに紙袋を見て指さした。
紙袋はパステルカラーでデザインされた可愛くておしゃれな袋。どこかのブランドの袋だろうか。 サイズがあまり大きくないのでそうに違いない。確かクラスの女子が誰か持ってたな、 机にかけてたような気が・・・
謙也が悩んでいるとは嬉しそうな顔をして答えた。



「これね、女子に大人気のルームウェアのお店なの!」

「!?」

「蔵覚えててくれたんだ!?わざわざごめんねー!!嬉しい・・・」

「昨日家族で出かけた時に良いお店見つけたわーと思って。
母さんと姉ちゃんと妹は服見てて俺は荷物持ち、みたいな感じで3人を待ってたら そこのお店が目についたから」


「ありがとう!!!!!」

「この前ウチの家に手作りのロールケーキと紅茶のセットくれたやん?せやからそのお礼」

「あんなのうちのお母さんが持って行きなさいって言っただけだから気にしなくていいのに・・・!」




どうやら白石はお返しで購入したようだ。
が「あけていい?」と一言断り紙袋の中身を出した。 いかにも女子が好きそうなふわふわでもこもこのミルキーな色をしたルームウェアの上下セット。 「ここ可愛いけど高かったでしょ・・・!?」とは遠慮していたが「いっつもウチに色々 差し入れしてくれたりしてたしウチの女衆もあげなさい!!って太鼓判押してたから気にせんでええよ」と 満足そうに優しく微笑んだ白石。

紙袋をぎゅっと大事に抱え込んで「これ超大事にするから!!!」とテンションがあがってる を見て白石も嬉しそうだ。

きっとあげて普通に受け取って喜ぶだけじゃダメだったのだと思う。
遠慮しつつも大喜びしてくれる、そして白石の事も気にかけてくれるからこそ 白石も嬉しかった。普段気遣いを人の何倍もしている白石にとって、 自分に返ってくる気遣いが何より嬉しいお礼だった。




「・・・・・・でもちょっと待って白石、高そうなルームウェアもそうやけど お前ココの店1人で入ったん!?」

「そうや?何か問題ある?」

「いやいやいや!ここの店俺も知ってるけどいっつも女の客ばっかいてへん!? 下着屋さん並に男子場違いな場所やん!?なんかピンクとか白とか色使いもいかにも女子やし・・・!!!」




女性向けルームウェアのお店ということは間違いなく客層は女性だらけ。
しかもこのブランドは女子向けの服のブランドが集まるフロアにあるため、 もっと行きづらい場所にあるはずだ。

しかしそれを聞いても白石は「え?別にええやん入れば」という顔をしている。




「ただプレゼントしたいだけやし、が喜んでくれるなら気にせんけどな」

「いやアレに1人で入れって言うのは厳しいわ・・・!!!お前よう入ったな」

「全然気にしてなかった」

「まじか」




謙也は白石のナチュラルな行動にカルチャーショックを受けた。
女兄弟がいるにしても1人で入れるのはスゴイ。でもそれを 彼女のためだと思うと普通に入れちゃうのかと考えると余計にスゴイ。 自分だったらそんなリスクの多いお店に行かずに他のお店のもので済ませると思う。 それをわざわざ女子受けのいいお店をあえてチョイスするあたりが尽くす白石らしい。

謙也はま、イケメンやし客も嫌がらんよな、嫌味も下心もなさそうやしと納得した。




「どう、可愛い?可愛い?」



上下セットのうちのパーカーだけ制服の上から羽織る
それを見て白石が「おっ可愛えやん!!」と普通に褒めているのもうらやましい。



「白石ってホンマにナチュラルに女子喜ばせるのすごいよな・・・・・」

「え?そうか?」










白石くんにジェラピケをプレゼントされたい妄想(17.9.3)