「財前くん!!いいところに!今大丈夫?」

「あーいや今めっちゃ忙しいんでー。」

「先輩命令。」

「最初に聞いた意味なんなん!?」











昼休憩、私は財前くんを求めて財前くんがいそうなところへ向かった。
いそうなところと言えども財前くんに興味はないので(私が興味あるのは蔵一択)
自然と向かう場所は財前くんの教室になるんだけど。

覗きに行くと案の定インドアな財前くんがいた。
イヤホンで音楽聞きながら雑誌読んでる。
失礼ながら教室に入り、財前くんの前の席を拝借して財前くんに話しかけたとこだ。



「今度はなんすか。俺もう聞かん言いましたよね?」

「えっそうだっけ」

「絶対先輩聞こえてましたよね?」

「まーまーまーまー!昼休憩の話し相手になってよ財前くん」

「へーい」




「私ね、蔵はほんっとにイケメンだと思うの」

「またその話か」

「あ、財前くんもそう思う??だよね〜」

「ハイハイ」

「蔵って身長高いし、テニス上手いし、なんかシュッとしてるでしょ?もう雰囲気も優しさとか 人柄の良さが滲み出て・・・いやもはや溢れてるし本当に外見も内面もイケメンだと思うの」

「まぁ・・・そうっすね」

「でもね、この蔵の魅力がいまいち周りに伝わってないんじゃないかって私は気づいたの・・・」

「いや、前回部長がモテたとこみると嫉妬するから嫌や言うてましたやん。 せやから魅力伝える必要性ないやん」

「蔵そのものの魅力が伝わらないのは不本意なの!蔵かっこいいのは事実なんだから」

「はー。そっすか」


「でも!!!!!そんな蔵を脅かす存在に!!!!!私は気づいてしまったの・・・」

「・・・・・・一応聞いてあげますけど、誰なん?」

「よくぞ聞いてくれました!!!!!!千歳よ千歳!!!!!



財前くんは頬杖をついたまま静止していた。
白い目で見られている気がする。



「・・・・・・・千歳先輩がなんでっすか」

「よく考えてみて!蔵の178cmを超えた高身長!!!!並ぶと蔵が低く見えるでしょ」

「・・・・まぁ」

「テニスも強いでしょ!?全国規模で有名な選手だったし」

「あー」

「しかも千歳って雰囲気がもうゆるくて優しそうで大らかな感じするでしょ!?」

「確かに」

「極めつけは方言よ・・・!!!!大阪にいる限り、九州弁は目立つの!」

「まぁな」

「これは由々しき問題よ!蔵のイケメンっぷりが、千歳のオーラで消えてるのよ!?」

「まぁ確かに千歳先輩キラキラしたオーラとか出してますもんね」

「高身長、テニス上手い、全国で有名、器のでかそうな優しい雰囲気、方言萌え、 物凄い蔵の魅力を妨害してるよね千歳。あーーーー憎いっ!上回ってかっこいいとか憎いっ」

「・・・・・・・・てか思ったんですけど」

「何、財前くん」




先輩って・・・・・・・・・・人のいいとこ見つけるの上手いですよね」


「!?」


「あーいや、この前の遠山のことといい、千歳先輩のことといい・・・
人の長所よう見てはるなっと思って。俺他人とかどうでもええしむしろ悪いとこしか 目につかんっていうか」

「お、おおお・・・!!(財前くんに褒められてる!?)」



「そーゆーとこが、」

「そーゆーとこが?」



「白石部長も好きなんじゃないっすか?」





「・・・・・・・・!!!!!」







私は自分のクラスに戻った。
そして教室で本を読んでた蔵の席まで一直線。



「・・・・・ん?おっ、どしたん?そんな慌てて」

「く、蔵・・・・・・・!!私、褒められた・・・!!」

「えっ?誰に?」

「財前クンに先輩って他人の長所見つけるの上手くて可愛いって言われた!!」

「え、まじで?財前クンに!?」

「まじ!(あーでも最後のは言ってなかったかなー?)」



ついにそれに気づくヤツが現れたか・・・・・・・

「えっ?何、蔵?」

「いやいやこっちの話や。で、なんで財前クンと話してたん?」

「あー・・・うーん、蔵がかっこよくて色々困るって話してたの」

「へぇ・・・」

「どしたの蔵」


「あー・・・いや、」

「?」






「財前くんがの長所見つけて好きになったらどーしよって心配」

「・・・・・!!!」






蔵、やだ・・・そんなに私の事心配してくれてたの・・・・・・?
蔵はそのあとすぐに「・・・っていうのはちょっと束縛強い?」って聞いてきた。 「強いけどそれもいいの」と答えると「財前クンと話すのもええけど俺とも話してな」と言って 微笑んだ。それが私には天使の微笑みにしか見えなくて、心の中で悶えた。

蔵が愛しすぎてどうしよう。もう、可愛い。心配かけない!絶対!
この愛しい気持ちはどこに発散すればいい!?
アイドルのコンサートだったら間違いなくうちわ作ってしまうやつ!!


千歳のかっこよさで蔵がかき消されても、財前くんに気になられようと
私には蔵が一番輝いて見えるし蔵しか見えてないし
とにかく私は蔵一択だからもう・・・・・どうでもいいや!

隣で安心しきったように笑う蔵が眩しい。









(これでしばらくは来ぇへんな、先輩ってホンマ単純)
(これでしばらくは財前クンのとこ行かへんな。って無駄のないシンプルな性格や)




(17.9.1)