「白石は彼女いるの?」 突然そう聞かれて少しだけ驚いた俺。 なぜならその質問があまりに突然だったからだ。 ここはU-17選抜合宿の部屋の一室。普段はテニスに重きを置いているのと趣味の話ぐらいしか 部屋ですることはない。 ルームメイトからプライベートな話題を出されるとなんとなく変な感じがした。 「・・・・・・・・おるけど、それがどしたん不二クン」 「ああ、やっぱりいるんだ」 「へえ。不二の予想が当たったね」 「???」 楽しそうに笑ってるルームメイトの青学:不二クンと立海:幸村クン。 ・・・いやいやなんで!? 「あはは、ごめんごめん。白石がたまに夜電話をロビーでかけてるの見かけるからさ。 あれはきっと彼女だよって幸村くんと話してたんだ」 「白石モテそうだもんね」 「・・・いやいや自分ら2人の方がモテるやろ!」 全国大会で対戦した時も不二クンは女の子の歓声が凄かったし 幸村クンなんて月刊プロテニスとかで特集組まれてるぐらい全国人気凄いやん! ホンマよういうわぁ・・・この2人。 「白石マメそうだよね」 「あー。。。うん、まぁそうかもしれへんなー。」 「合宿にきても連絡してるなんて本当すごいよね」 「俺が連絡せんと落ち着かん感じやな。向こうはこっちが忙しそうなの分かってるから、 気ぃ遣うてあんまり連絡してこんし」 「分かってるってことは・・・・・・・・・・あ、もしかして全国大会のときにいたあのマネージャーの子かな??」 「そうそう」 「へえ、立海はマネージャーいないから羨ましいよ。 俺もやってみたかったなそういう事。フフ」 「青学でもあの時マネージャーが可愛いってザワついてたからね。 そっか、白石の彼女だったか」 それを聞いてなんか嬉しくなる俺。が褒められると嬉しいわ。 「部屋に帰ってきたら携帯見てすっごく優しいそうな嬉しそうな顔してたのは彼女がいたからなんだね」 「え!俺そんなにニヤついてた!?」 「「うん」」 「・・・・・めっちゃ恥ずかしいわ」 「何の話をしているか分からないけど、ロビーで電話してるのを見かけたときも凄く優しい声だったよ」 「愛されてて彼女羨ましいね」 この2人に茶化されるとなんかやりづらいわ! 「ねぇ写真ないの?」 「あるでー。・・・はい」 俺が携帯を見せると2人が物凄く楽しそうに画面に注目した。 そして「これが彼女さんの顔か」「かわいい子だね、やっぱり」と言ってくれる2人。 「この合宿、夏休みいっぱいあるし会えないのは寂しいね」 「せやねん。こっちはこっちで勿論楽しいしやりがいあるけど、 それとこれとは話ちゃうやん?毎日会うてたから余計に感じるわ」 「テニスしてるのにいつものマネージャーがいない・・・って結構違和感感じるかもね」 「いやホンマそれや。ホンマは会いたいけど電話で我慢」 「せやから電話口でニヤけるのも堪忍してな」と俺が言うと2人は笑いながら 「全く持ってその通りだよね」と言ってくれた。 「選抜の公式試合に彼女さんは来てくれるのかい?」 「大阪から出んといけんからなー。まぁ遠征費出れば来てくれるんちゃうかな」 「もし来てたら教えてね」 「可愛いから一発でわかるで」 大阪からも東京の街中からも離れた合宿所。 今は会えんけど、もし会ったら「ただいま」って言うて抱きしめたい。 (ん?) ちょうどこのタイミングでからメッセージが届いた。 俺は2人に分からんようにそっとメッセージを開く。するとそこには 画像が添付されていて。なんやろ・・・と思いながらそのファイルを見ると、 クスッと思わず顔を緩めてしまうような写真が添付されていた。 「・・・あれ?白石がそんな顔するってことは噂の彼女から連絡かな?」 「本当いい顔してるね」 物凄く哀愁漂ってて、凄く寂しそうな背中を向けてコートを眺めてちょこーんと座るオサムちゃんと、 カメラ手前でそれを指さして笑ってるの写真。 「オサムちゃんも寂しそう!早く帰ってきてね」というシンプルなメッセージだったけど、 俺にとってはそれがめちゃくちゃ嬉しかった。の顔を写真見れたっていうのもあるし、 いつものホームグラウンドの様子も見れたし、何よりオサムちゃんの背中が物凄く 哀愁漂ってたからそれがやたらツボに入って。落ち着くっていうか、ホッとする1枚。 いや、オサムちゃんが寂しいんかい!って思わず突っ込みたくなる楽しい1枚だった。 きっとこれを不二クンと幸村クンに見せてもなんっもオモロないんやろな。 でも俺にとってはめちゃくちゃ楽しい1枚。 そしてわざわざそれを送ってきてくれるの事も無性に愛おしく感じる。 俺も早く会いたいな・・・。 会いたい。会って抱きしめたい。・・・・いや、オサムちゃんちゃうで。をな。 (・・・・・・オサムちゃんのこの写真、オモロいから四天宝寺のやつらに送信・・・っと) (17.8.6) |