「なぁなぁなぁなぁ!ー!」

「?」



と俺が昼休憩に2人で喋りよったら、違うクラスのヤツがの名前を呼んだ。

ええっとあれは・・・5組の野球部の田中やな。
・・・5組のやつがと何か接点あったか?



「なに田中ー??」

「ルールブックのここ意味わからんから教えて!」



そういいながら田中はの前に小さなルールブックを出した。
・・・見る限り野球のルールブックなんやけど。

いや、前に野球のルール知らんっていうてたで。
しかもどうやったら点が入った事になるのか分からんレベルで。(甲子園=東京言うてたし)

なんでに聞いてくんねん田中・・・



「ああ!ここは確かOKだったと思う!確かこっちのプレーが認められないからこっちはOK・・・みたいな感じ」

「あっ!なるほど!!!そういう意味やったんや」

「うんっ。私もそこ分かんなくてこの前調べたから合ってると思うよ」

「日本語複雑に書いてあるから分からへん!!が噛み砕いて説明してくれると助かるわ」

「いいえー♪」



・・・・・・えええええ!?ちょっ、ちょっどういう事なん!?

田中は笑顔で帰って行った。も笑顔でそれを見送ってた。



「・・・・で、何の話してたっけ蔵」

「いやっ、そんなことよりちょっと一旦待とう!!」

「え?」

「今のなんなん!?俺よう状況飲み込めてへん!」

「5組の・・・野球部の田中?」

「えっ、って野球のルール全然知らんかったよな?今めちゃくちゃ専門的な事 説明してなかった!?」

「・・・・・・・・・・・あ〜」




俺が問いただすとは視線を逸らした。
「そういえば蔵に言ってなかった」と付け加えて。
・・・え!?何なん!?




「ほら夏休みの間、全国大会終わった後に蔵もテニス部のレギュラーの皆もU-17合宿に行ってたでしょ?」

「せやな。しばらくおらんかったわ」

「その間もうちのテニス部の練習はあったワケで、私も勿論参加して部員の面倒見てたのね」




俺たちが全国大会のときははもちろん大会をサポートしてくれた。
そしてその後の青学との合同合宿も手伝ってくれた。
結構バタバタしてたけどは弱音ひとつ吐かずに楽しそうにマネージャー業をこなしてくれた。

でもその後のU-17の招集にはさすがにはついてこれなかった。
俺らレギュラーだけは参加して、大会も出て、そして夏休みが終わって2学期の今に至る。




「その節はホンマにありがとな」

「ううん!・・・でね、レギュラー達がいない分私の中では部活がかなりラクで・・・」

「うんうん」

「仕事全部終わらせたし物足りないなーとか思って練習風景見てたら・・・
オサムちゃんに呼ばれたの」

「オサムちゃんに?」

「そう。何の用かと思ったら、お前ヒマそうやなって」



はめちゃくちゃ仕事が早くて丁寧。
それによぅ気づいてくれる。これはテニス部の誰もが感じてる事やと思う。
部長の俺もがサポートしてくれるおかげで凄く助かってるしな。

・・・確かにあの殺人スケジュールをなんなくこなすなら、
普通の部活は物足りんくらいやろな・・・・!!!!



「・・・で、オサムちゃんがなんて?」

「・・・・・お前ヒマなら野球部のマネージャーも兼業せぇへん?って」

「!?」



や、野球部マネも兼業!!!!???



「・・・!?で、引き受けたん・・・!?」

「うん。最初は断ったんだけどね。
野球部の様子見てたら本当に大変そうだったし、部員の人たち困ってたから」

「!!!」

「あっ、もちろんテニス部優先だよ!?テニス部の仕事は抜かりなくやってたから」

「それで野球のルールも覚えてたんやな」

「なんか中途半端に出来なくてね!部員さんに聞いたり調べたりして野球のルールはもうバッチリだよ」




なるほど・・・!そういうことか。
確かには仕事出来るから、別に頼んでない仕事も完璧にしてくるやろな・・・!
そういうトコが実にらしい。

・・・色々と夏休み明けの謎が解けた気がする。
やたら他のクラスの男子とかに挨拶されとるなって思うてたけど
アレは野球部の部員さんたちやったんやな。納得。


・・・・・は仕事ができる上に部員への気遣いも欠かさない。
話しかけやすいし、しかも絶妙に頼ってこられるからとにかく可愛い!!!!

・・・これはテニス部だけの秘密にしたかったけど、ついに野球部にバレてもうたか・・・・・


野球部のやつらからも慕われてるとこを見ると、これは時間の問題やな・・・!
・・・なにがってそりゃ、に告白とかしてくるアホが!


もう済んだ話だというのに俺の心の中には羨ましいという感情と、俺のやという 独占欲で何とも言えない感情が生まれている。
いや、の凄さと可愛さを他の奴らに自慢できるのはええんやけど・・・!!
でもそれでがモテるのは嫌や。他でもない俺が嫌や!




「そっかそんなことあったんやな。お疲れさん」

「ありがとう。野球部の仕事はすごく大変だったけどやりがいあったし新しい発見もあって、 テニス部の時にも生かせるなーって思ったしいい経験になったよ♪」

(・・・・・・可愛いな)


「しかも野球部の人たち、私が手伝って練習に集中できるようになって大会で優勝したの!凄くない?」

(・・・そらこんな可愛い臨時マネージャーおったら頑張れるわ!)



俺らテニス部もそうやもん!
試合に勝ったら、がめちゃくちゃ嬉しそうな顔して「お疲れ様!」って言うんやろ!?
知ってるわ!あれ見てまた頑張ろうって思うんやろ!(野球部め・・・!)

「トンボがけも教えてもらったよー!!すごくコツがいるの!」と楽しそうに話す
積極的に「これも手伝うよ!!」って言うの事が簡単に想像できる。
言ってないのに色々用意してくれてるんやろ!?知ってるわ!!!



「・・・そんな可愛い顔して一生懸命マネージャーされたら野球部もそら喜ぶわ」

「助かってたら嬉しいな。でも・・・」

「・・・?」

「テニス部で仕事やるときの安心感ね!やっぱ私はテニス部の方が楽しくていいな! ホームってかんじ?」



「なんていったって蔵がいるから頑張れるよねっ」と可愛い事いう
・・・さっきまでの嫉妬心はどこへやら。なんかもう嬉しくて抱きしめたい気分。

学校じゃなかったらとっくにぎゅってしてるわ・・・!!!


にしても、臨時マネ期間が終わってもに頼ってくる野球部の様子を見ると
これはどうやらの事好きになったパターンやろな。
・・・悪いけどそれは絶対にさせへん。俺がおるってちゃんと分からせなアカン。

そうと分かれば早速対策しなくてはいけない。
夏休みの間、留守にしていてずっと放置させていた自分の責任や。




「・・・、今日の帰り一緒に帰ろ」

「?いつも一緒に帰ってない???」

「ラブラブ2割増しで帰るで」

「ぷっ、何それ」



笑いながら「大賛成だけども!」とが言ったので決定した。

は仕事が早くて丁寧でよく気づくマネージャーやけど
ごめんな。俺も仕事が早くて丁寧ですぐ気づくタイプやねん。

早急に実行させてもらおうかな!!








「5組の野球部の田中」っていうのが語呂が良すぎて・・・!お気に入りポイントです。(笑) タイトルは野球部にとっては白石くんのことだし、白石くんにとっては野球部のことだしって感じで。(17.8.4)