こんなだっさい制服着て、だっさいお寺みたいな学校に行って、


こんなの、私の想像した学生生活じゃない!









私は府内でも制服が可愛いと大人気の学校を受験した。

可愛い制服を着て、洋風のおしゃれな校舎で勉強して
おしゃれな友達と学校生活を楽しむのが憧れだった。

でも、私はその学校の受験に落ちてしまってこの学校・四天宝寺に通っている。



ださい制服を着るのが凄く嫌で、お寺みたいな学校に通うのは本当に嫌だった。
私が憧れていたそれとはまったく反対の学校生活。

学校全体面白いことが大好きな連中で、私が憧れていたものじゃなかった。
もっとおしゃれでスタイリッシュな友達を夢見てた。


・・・入学して数ヵ月経つ今はすっかり慣れてしまって、
それなりに友達も出来て、結構楽しんでいるんだけどね。



だけど。


通学中に、あの学校の制服を着ている生徒を見かけると・・・
今でもやっぱりみじめな気持になってしまう。

この四天宝寺のだっさい制服が自分にはお似合いだ・・・・・・。






、変わるで」



後ろから白石くんが黒板消しを持ってそう言ってくれた。

放課後、日直である私は帰りのHRが終わった後残って軽く掃除と片づけをしている。
たいていの男子は日直でも忘れて部活に行ったりするから、 次の日女の子たちの愚痴が絶えないんだけど白石くんはしっかり残ってくれているみたいだ。 さすが!



「高いとこ、手届かんやろ」

「うん!ありがとう、助かる」



もう1人の日直である白石くんは、私の代わりに黒板を消してくれるみたい。
だから私は軽く教室の拭き掃除を始めた。



「・・・・なぁ、って」

「ん?」

「どこらへんから来とるん??」



白石くんが黒板を消しながら質問してくれた。
(本当、話しやすい人だ)



「あー!えっと、北区の方」

「そうなんや!俺も俺も」

「そうなの!?じゃあ小学校梅田だった??」

「そう、俺南。は?」

「あたしは西だったよ」

「西か!だったら長谷川と同じ小学校!?」

「そうそう!」

「へぇー!も結構離れたとこからウチに通っとるんやな」



へぇー!白石くんって同じ方向から来てたんだ!
阿倍野区から北区って意外と距離あるんだよね。



「結構距離あんのに、なんでは四天宝寺に来たん??」

「!」

「ほら、梅田の方なら結構学校あるやん。なんで??」

「えーっと・・・受験に失敗しちゃったんだよね!」

「そうやったん?」

「うん。○○って学校に落ちちゃった」

「あっそうなん!」

「そうなの!○○の可愛い制服着て、洋風でおしゃれな校舎で学生生活を 送るのが私の夢だったの・・・」

「ははは!めっちゃ正反対やんか!!」



白石くんはぷっと吹き出して笑った。
だけどすぐに「笑うてしもうた、ごめんごめん」って笑いながら謝ってくれた。



「こんなだっさい制服着てお寺みたいな学校に通う予定じゃなかったんだよね」

「ホンマやな!」

「・・・白石くんはなんでウチに?」



そういえば白石くんは頭も良くてスポーツもできるのに
なんで四天宝寺に来ちゃったんだろう?



「俺はテニスがやりたかったし、勉強も疎かにしとうないから・・・って考えたら、 結局学区内では四天宝寺が一番合っとったから選んだで」

「そっかー!」

「俺も学ランじゃなくておしゃれなブレザーに憧れとったけどなー。」

「あはは!白石くんでもそんな事思うんだ」

「実は俺の姉ちゃんが○○に通うとったんやけど・・・」

「そうなの!?」

「うん。姉ちゃんもも同じで、落ちたらだっさい制服着なアカンから 必死に勉強しとったで。○○に無事受かったときはめっちゃ喜んどった」

「へー!!」

「でもな、○○に通うとった姉ちゃんが四天宝寺の事羨ましがっとったで」

「!!・・・なんで!?」



○○と言えば名門だし、制服も可愛いし、校舎も綺麗で言う事なしなのに!



「今姉ちゃんは卒業して大学生なんやけど、大学で四天宝寺出身の子が結構おるらしくて。
その子らがめちゃくちゃノリ良くて面白くて、一緒におっても楽しい子らなんやって」

「・・・!」

「それなりに○○の生活も楽しかったっていうてたけどな。
四天宝寺の学生生活も話でよう聞くみたいやけど、聞いとるだけで
四天宝寺に通っとけば良かった〜って思うくらい羨ましいって言うてた」

「そうなの!?」

「確かに制服はこんなださいし、外見はイマイチかもしれへんけど・・・
中身はめちゃくちゃ楽しくておもろい学校なんやなーって俺も入学して思うた」

「・・・」



確かに入学前は私もすっごく嫌だったけど、慣れた今は結構楽しい。
思ったより嫌じゃなくなったのは、やっぱりここにいる人たちがいいからなんだろうな。

白石くんの話を聞いて当たり前だけど納得してしまって
たった数分のお喋りの中ですごく気持ちが楽になった。


自分が楽しもうと思えば、四天宝寺も楽しめるのかもね!



「俺も外見だけで判断するやつは嫌やしな」

「どういうこと??」

「逆ナン苦手やねん、俺」

「・・・・・・・すっごい嫌味!!!」



白石くんはあはははって凄く笑ってた。
でも確かにそうなのかも。外見をいくら取り繕っても、中身がだめならだめだもん。



「てか男から見て可愛いなーって思うのは制服ちゃうよ」

「そうなの?」

「制服着てる子の笑顔が可愛かったらもうそれでその子は"可愛いな"ってなるしな」

「へー!」

「しかもウチの制服は確かにださいけど、」

「?」

「可愛いが着れば可愛く見えるしな♪」

「なっ・・・!!!」




○○校の制服も凄く凄く可愛くて、今でも着てみたいって気持ちは勿論あるけど

・・・今は四天宝寺の生徒で良かったって少し思うかも。




She who I make use of good looks and personality...???
(ありがとね、白石くん!)



(13.6.3)