「終わったーーー!!!帰るで!」 「謙也早いわ!!お前コケろ!」 「うわっ謙也がホンマにコケた!」 「ぎゃははははははは!!!謙也アッホやぁ〜!!!!」 「笑うたな金ちゃん!!」 「うわ。ダッサ。先輩」 「財前〜!!!!聞こえとんでお前!」 「謙也が追いかけてきたーーー!!!」 「ホンマめんどいっすわ・・・!」 「謙也くぅ〜ん!!アタシも追・い・か・け・て・☆」 「浮気か!死なすど!!」 今日の部活も終わって、皆が一斉にコートから出る。 練習後ということもあって、皆汗だくだ。 その姿はとても爽やか。部活後も笑いが絶えないのも素敵だ。 だけど部員の皆と一緒に着替えるわけにはいかないから、私は 皆とは違う方向に足を向ける。(サッカー部とか他の部活の女子マネージャーと 一緒に共同に使ってるんだよね) 仲良しな部員の皆と別れるこの瞬間は意外と寂しかったりする。 急げばまたあとで会えるんだけどちょっと寂しくなる。 会話に最後まで入れないし、何より部室でも絶対面白い話をしてるから。 部活が終わった後って自然と自由解散だし、 私も頑張って皆が着替え終わるまでに早く着替えて一緒に帰ったりするけど なかなか男子の着替えの早さにはついていけないこともある。 (特に謙也がいるから、どうしてもね) みんなで一緒に帰る約束してたら皆も待っててくれるけど、 いつも凄く待たせてるみたい。 だから私も頑張って皆に追いつこうとするけど、今日みたいに 「オサムちゃんに蔵の書いた部活日誌を渡す」とか用事が入ると どうしても諦めざるを得ない。 皆と一緒に帰りたかったなー。 いつも私がどんなに急いで着替え終わっても、もう校門出たとこまで歩いてるんだもん。 私の用事が終わるころには追いつけないとこまで行っちゃってるよ。 今日も一人で帰るか。。 明日どんな話したのか、謙也に聞いてみよう。 が諦めてゆっくり着替えているその頃。 部員たちの部室では・・・ 「よし。皆忘れモンないな。鍵閉めるで」 ちょうどが更衣室に到着したころには、すでに全員着替え終わって 帰る支度が万全の状態だった。 白石が電気の消し忘れなどを確認し、部室の鍵をかけた。 「そういやは?」 「まだ着替えてるのよ☆レディーだからね」 「ふーん」 「ま、もそのうち追いつくやろー。」 鍵をしめた音が合図になったのか、部員たちは一斉に校門に向かって歩き出す。 その途中も会話は途切れることなく、笑いも絶えない。 他の部活の生徒たちも下校する時間帯らしく、多くの生徒たちが校門付近にいた。 「あー明日漢字の小テストや・・・最悪」 「帰って教科書とか開く気力せぇへんわ」 「あ、2組まだ漢字テストなかったん?ウチらもうあったで」 「どうせ白石は勉強せんでも満点やろなー」 「謙也先輩と部長を一緒にしたらあきませんて」 「お前ホンマ一言多いな!!なっ白石」 「・・・・・」 校門をくぐろうとしたその時、白石が足を止めた。 「ん?白石?どないしてん」 「蔵リン?忘れ物?」 「・・・あ、いや。ごめん、皆先行っといて」 「忘れモンなら待っとくで?白石」 「小石川の言うとおりや」 「なんなら俺がマッハで取りに行ったるけど」 「大丈夫。すぐ終わる用事やし。・・・ほらバス組はバスの時間もう少しやし、早よ行き」 白石に促され「ほな・・・」と言ってまた歩き出す部員たち。 「白石気ぃつけて帰れよー」 「おつかれっす」 「また明日なー!白石!!」 「明日な」と皆を笑顔で見送る白石。 皆の背中が見えなくなったのを確認してから、白石は校門付近にある花壇に腰かけた。 「ハッハー!!!ご苦労さん♪」 「オサムちゃん。それいつも一生懸命蔵が書いてるんだから、たまにはマジメに見てよね」 「ん。みるみる!」 「絶対読んでないでしょ!!」 相変わらず適当な顧問に部活日誌を渡し、私は職員室を後にした。 もう絶対皆帰っちゃったよねーなんて思いながら靴を履き替え、校門に向かった。 他の部活の生徒たちもすでに帰った後なのか、学校中が静まり返ってる。 校内にある街灯も明かりがつきはじめてるし私も早く帰らなくちゃ。 と、私が校門を抜けようとしたそのときだった。 「、お疲れ」 「・・・・・・・・・えっ?蔵!?」 私がそういうと、蔵が笑いながら花壇から立ちあがった。 そして荷物を肩にかけながらこっちに近づいてくる。 「びっくりした!!え、蔵まだいたの??」 「ははっ、まぁな」 「皆は?」 「先帰ってもろうた。、いつもごめんな。日誌」 「え?ああっ、全然気にしてないのに!」 「いや、やる事押し付けて勝手にいつも帰るんもな」 蔵は申し訳なさそうに笑った。 わざわざ気にして待ってくれてた・・・・のかな?? ・・・う。優しいぞ、蔵。 「今日な、部室で着替えとるとき"自分撮り"をどんだけかっこよく出来るか、みたいな話になってな」 「ぷっ!!何それー!」 「な?しょうもないやろ??で、財前が意外と上手かった」 「謙也とか下手そうだよね」 「ユウジなんか照れてやらへんかったし」 「あははっ!!想像つくね!」 蔵は部室で起こった事を話してくれた。 この他の話も色々、分かりやすく話してくれるから簡単に想像できる。 そっかそっか、今日も楽しそうにしてたんだね! 私も入りたかったなー。それくらい皆の話は面白くて1秒たりとも逃したくない。 ・・・・・・でも、あ。 そういえば蔵って、いつも私にいろいろ教えてくれる。 私が遅れて合流したときも「今○○の話題やで」ってさりげなく言ってくれたり 会話にスムーズに入れるようにしてくれてるよね。 「・・・蔵って本当、皆で楽しくできるようにする人だよね」 「えっ」 私がそういうと、蔵は驚いた顔をした。 「私がいない時の話を教えてくれて、次の日に会話がスムーズに入れるようにしてくれるじゃん」 「・・・」 「今日もありがとう。待っててくれたの、私がいつも追いつけないからでしょ??」 「・・・・!」 「遅れてるメンバーの事、放っておけないなんて・・・蔵って本当優しい部長!」 私はにこっと笑ってそう言った。だって嬉しかったんだもん。 小さなことでもこうして気にかけてくれる事が嬉しい。 「・・・それはチームやからっていうよりは違う動機やったりするけど」 「えっ??」 そう言うと蔵は私の頭をポンポンとしてくれた。 ・・・・・・う。(頭なでられると嬉しいのを分かっててしてるのかな?) 「俺が待ちたい人って思うからを待っただけの話やん」 「えっ?私が??蔵の待ちたい人!?」 「もちろん。」 「あははっ、上手い事言うね」 「せやろ?せやから、」 「うん?」 「が好きになってくれるまで待っとるわけやし」 ・・・・・・え? 「さて、帰ろか」 「・・・・えーっ!!!!蔵、今のどういう事!?」 「あはは!どういう意味やろな?」 (13.4.12) |