「おっなんやなんやー!今日のおやつはたい焼きかー!」 「ワイいっちばーん!!!!!」 「浪速のスピードスターの方が選ぶのも早いっちゅー話や☆」 いつもの部活後の風景。 私たちの部活には「おやつ」を一緒に食べるというしきたりがあって、 部活が終わったら皆でこうしておやつを食べて帰ってるんだよね。 たまーに皆で一緒に食べに行ったりするかな。 (この前はオサムちゃんがたこ焼き食べに連れて行ってくれた☆) 皆は運動後っていうのもあって、お腹空いてるし凄くおいしそうに食べてる。 私ももちろんおいしく食べてる! でも皆よりは運動してないから、毎日一緒に食べてると太りそうになるんだよね・・・! みんなが帰宅するまでの「繋ぎ」になるおやつとなると、自然と炭水化物が多くなっちゃう。 (運動後にクッキーとか欲しくないでしょ!?) おやつの最終的な決定権は私にあるため、毎週チョイスには悩んでしまう。 もちろん皆の意見を取り入れてバランス良く私も決めたりするんだけど・・・ ・・・蔵は「の好きなモンでええよ」って言ってくれるんだけどね!! メニューはもちろんだけど、「量」も結構悩んだりする。 人数分×2ぐらいを買わないとすぐケンカになっちゃうから、なかなかの悩みどころ。 量が多くなると自然と部費もかさむし・・・・・・・・うーん。 かといって量が規定通りだと・・・・・食べれない人が出てきちゃうんだよね。 特に食べれない率が高いのは、私が一番食べて欲しい部長の蔵。 蔵は優しいからすぐに「俺はええよ」って言う。 だから蔵が食べてないのをよく目撃するんだよね。 ・・・・・・もちろん皆も部活を頑張ってるけど、でも蔵は皆以上に部長として頑張ってることを知ってる。 だから私は蔵にそうやって我慢して欲しくなくて、ちゃんと食べて欲しい。 意外に蔵も大食いだしね。食べたい気持ちは絶対にあるはずだもん。 ・・・・・・で、色々とおやつを悩んだ結果・・・・・・・・・・・ 今日のおやつは「たい焼き」に決定した。 この前財前くんが「うまかったんですよね」って言ってたお店のを買ってみた。 しかも1つ1つが安くて凄く良心的!これならたくさん買えちゃうし完璧! 味は色々あったけど、部費の関係で定番の「つぶあん」 しか用意ができなかった。(本当は私的にクリームチーズとか食べたかった!) けどこういうのって味じゃなくて皆で食べるのに意味があるし、いいよね。 とりあえず私と蔵以外の皆に先に選んでもらった。 (私たちはオサムちゃんと軽くミーティングがあるからその後に食べるし) ミーティングを終えて部室の前に戻ると、すでに皆が着替え終わって部室の前で おいしそうにたい焼きを食べていた。・・・うー!私も早く食べたい!!! 「お、に白石。おかえり」 「自分らのもうなくなるで〜」 「大丈夫大丈夫、私と蔵のはもう先にとってあるから♪」 「あ、そうなん??さすがやな」 「でしょっ!」 というわけで私はあらかじめ用意しておいた紙袋から、1つ蔵に手渡した。 皆に取られる前に確保しておくのも作戦のうちだ。 でも蔵は食べる前に何かに気づき、口を開いた。 「うわ、何なん謙也・・・どこから食べよん?気持ち悪!」 どうやら謙也のたい焼きの食べ方が気になったらしい。 蔵はすかさず指摘した。 「うわっ・・・本当だ謙也・・・!え?背中?」 「は?やかましな!!!別にええやん!!!!」 「先輩、イジってもらおうと必死っスねー」 「ちゃうわ!そういう財前こそ何まっぷたつに割ってんねん!!!たいさん可哀想やん!」 「いや、最初に中身がどんだけつまっとるか見てみたいやん」 「アタシはく・ち・び・るからよ♪」 「ま、王道やな」 「へぇー。皆食べるところが違うんだねー!」 あははっ、本当だ。よく見たら皆食べ方に特徴あるかも。 お腹から食べてる人とかしっぽから食べてる人とか、いろいろあるんだね。 「金ちゃんはどうやって食べるの??」 「んっ??ワイ??えーどこからやろ???」 「。金ちゃんに聞くのは間違いや。一口で食べるに決まっとるやろ」 (確かに・・・!) 「でも俺的につぶあんよりこしあんの方が好きや」 「謙也、ケチつけるなら食べないで」 「ていうか、ホンマにお前的やな」 「あーちゃうちゃう!そういうワケやなくてー!!!」 「はー。わかってへんわぁ、先輩。つぶあんやろ」 「いやいや、こしあんおいしいやん!舌触りええやん!」 「え?何なん???白石ぃ、あんこに種類があるんかー???」 「あははっ、金ちゃん知らんかったんか。せやで」 「金ちゃん知っとったか?アンパンマンのあんこはつぶあんなんやで」 「うわっ、何その情報」 「無駄知識すぎるわ。」 「ホンマかー!!!アンパンマンが!!???ほうなん???」 皆がそれぞれたい焼きで盛り上がってる! 今日のおやつは大成功だったみたいだ。 よし、私も冷めないうちに食べちゃおーっと! 「蔵はつぶあんとこしあん、どっちの方が良かった?」 「え?あー・・・まぁどっちもどっちのええトコがあって両方好きやで」 (さすが蔵・・・!!) 「うわ、マニュアル通りの優等生コメントや」 「さすが白石。完璧ばい」 「でもま、強いて言うなら俺は・・・・・・カスタード派やけど。」 蔵はサラッとそう言った。 「ああ、なんか白石っぽい・・・」 「まぁ何でも食べるけどな。ほないただきまーす!」 蔵がそう言って私の手渡したたい焼きを一口食べた。 すると蔵はびっくりするような顔を浮かべて私の事を見た。 「え・・・・・・・!」 「ん?どしたんや白石ぃー」 「・・・・・・、もしかして知っとったん!?」 蔵がそう言うと皆が蔵の食べかけのたい焼きを見た。 そこにはつぶあんでもこしあんでもなく、黄色いクリームが入っていた。 「あははっ!良かったー!蔵ならカスタード好きそうだから、 カスタードにしたんだよね!」 「えええ・・・!何でわかったん!?」 「何となくだよ。私と蔵の分だけカスタードにしてみました」 そう、私はあらかじめ自分と蔵の分だけカスタードにしていた。 理由は簡単、蔵がカスタード好きそうだったから。 そして私は蔵と同じものが食べたかったから! (皆には申し訳ないけど、職権乱用しちゃった!) 「わーーーー!!!!ええなぁええなぁ!!!!!ワイもクリーム食べたかったー!!!」 「ずっこいで!!!!!それなら俺もチョコ食べたかったわ!!」 「先輩、また部長ひいきっスか。」 「アタシの記憶が正しければクリームの方が10円高いハズやで」 「会計の小春差し置いて何買うてんねん!!!!死なすど!!!」 「あははは!ごめんね!」 笑いながら皆のツッコミに耐えていると、隣の蔵がくすっと笑ってこっちを見た。 「・・・ありがとな、」 「ううん。いつも皆を優先させて、おやつ食べなかったりする蔵へのご褒美だよ」 「・・・・・!気づいてたん?」 「当たり前!」 すると蔵はまた「ははっ」と笑って、「さすがマネージャーさんや」と言った。 「はい、蔵。あーん♪」 私が一口分ちぎって蔵の口へたい焼きを運んだ。 すると蔵は嬉しそうにそれをぱくっと食べてくれて「うん、おいしい!」と言った。 「も食べる???」 「うんっ☆」 「はい、あーんして」 「あーん」 蔵が食べかけのたい焼きをそのまま口に近づけてくれたから、私は一口食べた。 「うんおいしい!やっぱりカスタードが一番だよねー♪」 「せやな!」 (いやいやいや!!!!お前ら同じ味やん!!)(食べさせあいに何の意味もないやん!) (別に俺も小春とやりたいとか思うてへんからな!!)(ホンマこのバカップル、 しゃあないっスわー) (11.9.25) |