人としてひとつ、蔵に対して大きな疑問がある。



蔵って・・・・ なんでそんなにいい匂いがするの!?










学校でも、女子とすれ違った時思う。

すれ違って数秒後、その子の匂いがする。
女の子はあまーい匂い。ワックスの甘い香りや香水のふわっとした匂い。
いい匂いが残るといいなぁって思うよね。


それと同じで蔵ははんぱなくいい匂いがする。

大体男子ってあんまりそういうところに気を使っていないんだけど、蔵は別だ。


めちゃくちゃいい匂いがするの!!!!(何あの匂い!?)



本人に聞いてみても「いや、香水とか苦手やししてへんよ」っていうけど・・・
確実にどの女子より、いやどの人よりもダントツでいい匂いがするの!!!

しかもその匂いは上手く表現できない。
甘いわけでもないし鼻につく匂いでもない、柔軟剤とかの人工的な「いい香り」の匂いでもない。
もっとナチュラルでふわっとして・・・・・とにかくいい匂いがするの!


友達も全員一致で「白石いい匂いがする」って言ってた。
しかも蔵の場合、部活後の汗かいたときでも何故か良い匂いがするんだよね!


私はこの蔵の匂いがたまらなく好きだ。


こんな匂いが自分もしてたらいいのになぁって思う。








「ねぇ蔵」

「ん?」

「なんでそんなにいい匂いがするの???」

「はっ!?何なんいきなり」




部活が終わった後だけど、この日は蔵の家にお邪魔しておしゃべり中。

蔵はあははっと笑った。(だってだってー!)




「だって蔵、いつもいい匂いがしてるんだもん。気になるよ」

「え?そうかー??俺ホンマ何もしてへんけど」

「してるしてる!今も」



蔵はそういうと自分の腕とかをクンクンと嗅ぎ始めた。
でも本人はピンときてないみたいで首をかしげながら「そうなん?」と言ってた。

そういえば此処蔵の部屋だし、蔵にとっては普通なのかも・・・!



「いいなぁ。蔵。何もしてないのにそんな良い匂いがして」

「いや、今は確実に汗くさいって。部活の後やし」

「そんなことない!」

「そんなにいい匂いや言われても、別に普通やって。シャンプーの匂いとかかなぁ?」

「でも蔵と私のシャンプー同じって話したじゃん。」

「そういえばそうやな。たまたま同じやったな」

「なのに私はそんないい匂いしないし、やっぱり蔵はいい匂いだよ」

「俺はの匂い好きやけどな」

「私は蔵の匂いが一番好きだよ!ほんっといい匂いするんだもん!そんな匂いになりたいよ」



すると蔵は「ふぅーん」と笑った。




「ほな、こうすればええんちゃう?」

「えっ?」




蔵は私のことを急に引き寄せてぎゅーっと抱きしめた。
えっええええ!!!!急にそんな事しないで!!!!

私の心臓はドキドキドキドキと加速する。

そして近づいた事に寄り、より一層近くに蔵の匂いを感じる。



「ずっとくっついとったら、俺の匂いがうつるかもな」

「く・・・・・蔵・・・・!!(かっこいい・・・!!)」



蔵は私のことを抱きしめたまま、唇を重ねた。
私と蔵の間にあまーい空気が流れ始める。

蔵の匂い、やっぱり好きだなぁ・・・・・・・



「・・・蔵の匂い落ち着く」

「俺は抱きしめとったら落ちつく」

「ほんと?」

「ホンマ。てか柔らかいし可愛いし、何なんもう!ってなる」

「あはは!何それ!でもね、私も蔵かっこいいし優しいし、もう!ってなるよ」



至近距離で2人で笑う。
幸せな瞬間だなって、こんなとき思うよ。



「っちゅーわけで」

「へ?」



蔵は私のことをドサッとベッドに押し倒した。(え・・・・ええー!)
背中に受けたベッドの柔らかさと蔵のいい匂いに私はとろーんとした気分になる。




「く、蔵?」

「もっと密着してみよか」

「えっ・・・ちょっ・・・く・・・・・」

「ん??やめとく?」

「・・・・・・・おねがいします」






白石くんは絶対いい匂いがします! (11.6.18)