お も し ろ く な い 恋 の 話 。
It is funny. but I can not understand his stories. Why!?





「なぁ白石」

「ん?なんや謙也」

「あんな、白石っての事好きやん?」

「せやな!大好きやで」



惜しげもなく彼女のことを大事にしている白石。
白石の彼女への態度(通称:愛妻家っぷり)は校内でも有名だった。

白石は外見や柔らかい性格のためかかなりモテるが、 彼女と他の女の子の扱いには一線引く。 かと言って、彼女バカでもない。バランス良く彼女と接して 周りの空気を乱さない。まさに完璧な振舞い方をする。


白石の彼女への接し方は女の子たちの間でも評判だった。

「あの外見でアレは反則やろ!」「が羨ましすぎるわ!」 「あんな完璧男どこにもいてへんって!」など称賛の声があがるほどだ。 モテる人に「彼女」がいるということは、かなりブーイングになるポイントだが、 白石の場合「そりゃあんだけかっこよかったらいるよね」という話になる。

しかも、白石の「彼女への接し方」もまた、評価が高いポイントなのである。




「急にどしたん。改まって言われると怖いわ、なんか」

「いや、白石との仲の良さは俺もよーーーーく知ってんで? せやけど、そういえば俺はからの言い分しか聞いてへんから、 白石はの事どう思うてんのかなーって思うて」




実は謙也は、からよく白石自慢を聞かされる立場にあった。

たとえば部活中、白石がテニスで技を決めたりかっこいいプレイをしたりすると、 近くにいる謙也をバシバシ叩きながら「蔵最高!超かっこいい!」と言われたり。

白石と謙也は仲が良いので、が白石のことで不安に感じる事があれば謙也に聞く。 その時嫌というほどが白石の事をどれだけ好きか語るのを、聞かされているのだ。




もお前の事大好きやしな・・・。なんか、それくらい白石も の事ちゃんと好きなんかなって」

「あーそんなことか。」

「で、どうなん?白石は愛妻家で通ってるけど、意外と彼女の話とかせぇへんし」

「・・・あー。言われてみれば声に出して語った事とかないかもなぁ」

「ちょっと言うてみ。俺に」




確かに、そうだった。

に向かって惜しげもなく「好き」だとか「可愛い」といって、 甘い言葉をかけるのはいつものこと。だが、第3者に向かって彼女の自慢を したことは、ほとんどない。



「ほな、遠慮なく語らせてもらうわ」

「話してみ」



白石はスーッと息を吸った。





「そもそもは、俺の足りひん部分を補ってくれる存在やねん。 俺が完璧って売り出せるのものおかげ。例えば俺はあんまり人に 愚痴とかこぼすやつちゃうけど、になら言える。 まぁ謙也も俺が悩んでたら気づいてくれるけど、も同じやねん。 すぐ俺の表情の変化を汲んでくれて"話聞くよ"って言うてくれる。 はあんまりアドバイスとか得意ちゃうけど、俺の 欲しい言葉をいつもくれてゆっくり励ましてくれる。 そういうとこホンマ可愛い。可愛いで思い出したけど、 ・・・むっちゃ可愛ない?ヤバいやろアレは。 俺思うたもん。四天宝寺入学して、と部活を通して出会って喋って行くうちに、 "ってめちゃ可愛いやん!"って。俺は一目惚れとかそういうのないけど、 は出会った時から高得点っちゅーか好印象の子やってん。 俺、めっちゃ不思議でたまらんかったもん、がツボすぎて "四天宝寺の男みんなにが狙われとる!絶対!!"って思うたもん。 まぁそれは今でも変わらへんけどな。四天宝寺の中で絶対が一番可愛い。 オサムちゃんも絶対の事狙ってる時期があったはずや。 やたらにベタベタすんねんもん。ええ年なんやしええ加減にして欲しいわ。 、俺を見上げるときの顔がめっちゃ好きやねん・・・。 あんな目で見られたら何でも言う事聞いてあげたくなる。 素直な子やから喜怒哀楽の表情がしっかりしてて、ホンマ可愛いって思う。 皆で騒いでるときのの笑顔と、俺だけに見せるの笑顔? あのギャップがやばいねん。あ、謙也に言うてもわからんよな! だって俺だけに見せる笑顔は俺と2人のときにしか見せへんもん。 をいじめたくなるのも分かるやろ・・・。あれはアカンでホンマ。 アカンで思い出したけど、 そういえばこの前、の事くすぐってみたんやけど、そん時のがヤバかった。 わき腹をくすぐったら、涙目になりながら笑って"やめて!"って言うたんやけど、 俺が首をくすぐったら、そのままきゅっと肩すぼめて肩と首で俺の手挟んでん。 そんときは本気でヤバかった。あんときのの顔がヤバい。 くすぐったいって顔やなくて、色っぽい顔しとった。 って普段は子どもっぽいのに、俺と2人になると急に大人っぽくなったり色っぽくなるから焦る。 は振舞い方だけやなくて、皆に対して平等で嫌みがないのも凄いと思う。 いつも一生懸命でいつも頑張ってくれる。謙也も部活を一緒にする中で気がついとるかもしれへんけどな。 あんなに重いボールの入った箱を誰にも頼らず1人で頑張って持つとことか、 最初はスコアの付け方すら分からんかったのに必死にテニスの勉強して 俺達に最高のサポートをしてくれるとことか。 は小さい事でも気づくよな。部活中はレギュラーとか平部員とか関係なく1人1人に話しかけるし、 皆のためにタオルとかドリンクとかおやつとかも準備してくれる。 俺がいてへんときは小石川や謙也が金ちゃんの面倒見ようとするけど、 それでも見切れん場合があるやん?そういう時はが代理で金ちゃんのこと 抑えつけてくれたりして。ホンマ、最高のマネージャーやし、最高の彼女やなって思う。 ただ俺だけに甘えるだけの子やったら、俺引くもん。 せやけどは平等に優しいっちゅーか・・・誰にでも気配りの出来るすごい子やねん。 絶対テニス部の皆、の事好きやって思うもん。 が俺以上に好きなヤツができんよう、俺は日々かっこよく見せるために頑張ってんねんけどな。 あーあと、俺が毒草が好きでデートで植物園に行きたいって言うた時かな? 普通の子なら興味なかったらスルーするやん。それか、植物園行っても 別に普通に見るやん?なのに、 デート行く1週間前ぐらいに俺に植物図鑑貸してっていうてきて、 デートの前にちゃんと俺が好きなもののこと理解してくれようとしてくれんねん! 夜に"意外とハマるね毒草ワールド!面白い(^^)ありがとね、蔵☆"って おちゃめなメールくるし・・・。俺が好きなもんまで理解してくれるとことかホンマ優しいし 気配りできるなって思う。しかも俺の趣味も楽しんでくれようとするとこ?やばない? 実際デートに行っても、"これ蔵がこの前話してたやつだよね!?"って ちゃんと毒草のこと覚えててくれとったし。あんまこういうので人と盛り上がった事 なかったからホンマに嬉しかった。 ・・・あんないい子が俺のこと好きでええんかな。だって俺が想像する以上、 絶対パーフェクトやもん。絶対みんながの事狙っとるに違いないもん。 意外と財前とか俺の隙ついてにちょっかいかけそうで怖いし。 誰がの事好きかとか考えただけで不安やわ。 だって可愛いし、オモロイし、とにかく俺にとっては大事すぎる子。 一生離したくないって思えるくらい大事な子。

・・・・・・・・ま、こんなかんじかな」





一頻り語り終わる頃には、謙也はげっそりとうつむいていた。




「いや白石、 無 駄 多 す ぎ る わ !  びっくりしたわ!!!どないやねん!?

「そうか?これでも結構抑えた方やけど」




世界一おもしろくない恋話を聞いてしまった、と謙也は思った。




(要するに、白石もとほっとんど変わらんような事しか言うてへんかったな・・・) (え?)(も息継ぎナシで、今のお前みたいにお前の事めっちゃ語り倒してきたっちゅー話や) (ホンマ?相思相愛やな!)





(10.11.15)