「なぁ白石ぃ…。」


部室で着替えよる時、なんだか表情の曇った金ちゃんが部室に入ってきた。 見るからに元気がなさそうや。

・・・ちゅーかこのくだり、何回目やねん。









「どしたんや金太郎さーん!」

「なんや金ちゃん、めっちゃテンション低いやん!」

「・・・別に低ない!ワイは元気や!!」



謙也・ユウジ・小春の3人は「またいつものアレか!」と言わんばかりに金ちゃんに 声をかけたのだが、どうやら金ちゃんは思ったよりかは普通らしい。 「あ、今回は普通やな」と謙也・ユウジ・小春の3人は顔を見合わせた。



「そんなことより!!!ワイ、みんなに聞きたいことがあってん!」

「聞きたい事?」



金ちゃんの聞きたい事とは一体何だろうか。
まず謙也が金ちゃんのそばに近寄った。



「聞きたい事って何や金ちゃん!俺に話してみ。答えたるから!」

「ホンマかー!?あんな、あんなっ!」

「なんや!」



「子どもってどうやったら作れるん!!??」




!!!!?????





(オイイイイ!誰や!金ちゃんに変な事吹きこんだんはー!!)
(あら☆ええやんか)
(金ちゃんのせいで皆固まったやんか!)



突然で衝撃的な金ちゃんの一言に部室全体が凍る。
その中で一人だけ余裕そうな白石だけ「プッ」と笑った。



「なぁ謙也ぁ!どうやったらつくれるん??」

「え・・・ああああ・・・ええっと・・・その・・・・どどど、どうしよ白石」

「俺にふらんといてくれるか」



うろたえる謙也。心なしか顔がボッと赤くなっていた。



「答えたるって言うたんなら答えろやー!」

「ユウくんの言う通り☆」

「はぁー!?お前らズルイで!!」

「なぁ謙也ー!知っとんか!?教えてやー!」

「金ちゃん!そういうことは静かな流れで分かるから・・・な、その、」

「謙也・・・もしかして知らんのん?」

「アホ抜かせ!知っとるわそれくらい!」

「なら答えたれやー」

「ユウジ黙れ」

「なんや、なんちゅーか・・・その・・・・・あんな、金ちゃん」

「うんうん!!」



キラキラした目で回答を待つ金ちゃんと、目が泳ぎまくる謙也。



「こう・・・男と、女が・・・」

「うんうん!!!」

一線を越えるとできてまうんや・・・」



言った事でより赤くなる謙也の耳。謙也の回答に、金ちゃんはあまり ピンと来ていないようで「イッセンヲコエルト・・・??」と呟いた。 小春とユウジは「なんちゅー答え方やねん!!!???」「中途半端や!」と一斉に謙也に突っ込んだ。



「んんん???どういう事や、それ???」

「金太郎さん♪まだこの意味が分からんやろ??せやからまだ金太郎さんには この話は早いっちゅーことや!」

「ええええ〜!!!!皆知っとんのにワイだけ知らんのはイヤやぁーーー!!」



わめき始める金ちゃん。すると、ユウジが金ちゃんの肩をポンッと叩いた。



「大丈夫や、絶対授業で習うからな」

「そんなんいうて・・・ユウジ、ホンマは知らんのとちゃう!?」

「アホか。知っとるわそれくらい!!なっ小春」

「なら教えてや!!!男と女がおればできるんか!?」

「いや、それはその・・・まぁ・・・。アレや、好き同士の男女が・・・」

「えー!!!なら小春とユウジも作れるんか!?」

「ん〜〜〜。まぁできるんちゃう??なっ小春♪」

ユウジ変な事吹きこむな!!ややこしゅうなる!」

「その前にアタシはお・と・こ!」

「んんん?ならどうやったらできるん?誰かからもらうんちゃうんか?」



どもるユウジ。そして困惑する金ちゃん。
それを見かねてかついに白石が救いの手を差し伸べた。




「金ちゃん」

「白石ぃ!なぁ白石は知っとるん??」

「ああ、知っとるよ」

「教えてや!!!!!どうやったら出来るん!?」



ホンマに教えるんか!?という顔で3人は白石を見た。
白石は金ちゃんの目線の高さに合わせてしゃがみこむと、金ちゃんの頭に手を乗せて 余裕な表情のまま、口を開いた。



「謙也とユウジの言う通りや。子どもっちゅーのはな、好き同士の男の子と女の子が おって初めて出来るんやで」

「ほぅなん・・・???」

「せや」

「なら、ワイとでも作れる!?」


金ちゃーーーーん!!!!なんちゅー事聞くねん!!!

(あら♪大胆♪)

(ホンマええ度胸しとるわ金ちゃん・・・)



「それはアカン。それは無理やで。つーか俺が許さん」

白石お前・・・!

「アカンのん?でもワイはの事好きやし、もワイの事"好き"って言うてくれたで?」

「残念やけど、は金ちゃんより俺の方が好きやから」

「ええー!なんで!?なら白石とは作れるん!?」

「作れるで。作ろう思うたらな」

「なら何で作らんのー!?」

「子どもは結婚してからや」

「あっ!そっか!結婚せなアカンのか!」

「そういう事」

「なるほどなぁー!!!」



白石の上手い言葉の誘導に3人は相変わらず感心していた。



「でも白石、好き同士の男と女がおって子どもが出来るんは分かったけど・・・。 作り方をまだ聞いてないで」

「あー・・・まぁそれは・・・」

「どうやるん???」

「せやな・・・。まぁ俺が白石やめとけ!!!

と白石は作ろうとか思わんのん???」

(ちょっ金ちゃん!!)



純粋な金ちゃんのとんでもないぶっこみ質問に、3人が固まる。
しかし白石はにっこり笑って普通に答え始めた。



「せやな。まぁ、作る手前まではしとるかもな」

「白石コラーーーーー!!!!!

「えー!!!ワイも知ーりーたーいー!見せてや白石ぃ!

金ちゃーーーーん!!!ストップストップ!


「んー・・・まぁ、見せるのはある意味アリやけど・・・」

「蔵リン、それ問題発言やで!


「(そういうプレイもありっちゃアリやけど)アカン。」

「ええー!!!どうやるんか、教えてくれんのん・・・?」

「ごめんな金ちゃん。でも、金ちゃんよぅ考えてみ?」

「ん???」

「子どもなんか作るより、」

「作るより?」




(まさか・・・・・)
(白石まさかお前また・・・!!!)






皆でたこ焼き作った方がオモロイと思わへん?」


「あ!!!!!!せや!ワイたこ焼き作るのめっちゃ好きやでー!!!」




(((またかーーーー!!!)))




3人はまた一斉に突っ込んだ。
白石のたこ焼き万能説は一体どこまで通用するのだろうか。



「せや!今日は部活終わったら皆でたこパでもしよか」

「おっ!それええなぁ白石!!!」

「なら決まりや!だったら金ちゃん、材料買うてこな!!」

「せやな!!!!」

「よっしゃ!じゃあ金ちゃんはたこ焼きソース買う係や!!」

「分かったで白石!!!!ワイ買うてくるわーーーー!!!」



金ちゃんはそういうと部室を飛び出して行ってしまった。
白石はヒラヒラと手を振り「いってらっしゃい」と言った。しかし、 そんな白石に謙也・小春・ユウジの3人がすかさず突っ込んだ。



いやいやいや!!!お前金ちゃんに何言うてんねん!?」

「え?だってホンマの事やん。金ちゃんには男としての本能よりも、 今は皆でワイワイしとる方が楽しいって」

「いや・・・せやけどお前・・・もっと他にあるやろ・・・」

「なら此処でと俺がヤればええんか」

お前何怒ってんねん!?怒るポイントそこちゃうやろ!」

「謙也クン顔赤いで!」



すると、その時だった。



「あっ皆もう来てたんだ!」

「「「「!」」」」



いろいろと話に巻き込まれている本人が部室にやってきた。



「ねぇ蔵、さっき金ちゃんが"今日はたこパやから、ソース買いに行ってくる!"って 言い残して走り去って行ったんだけど・・・何かあったの?」

「はははっ!まぁいろいろな」

「まぁいっか。今日たこパするの??」

「そういう話にはなっとるな」

「そうなんだ!楽しみだね♪」



にこにこ楽しそうなと白石。しかしそんな2人を見ている3人の顔は ひきつっていた。そして、うまい具合に話を進める白石に対し、いつものあの一言を呟いたのだった。



(((白石だけは敵に回したないわぁ・・・)))





(10.8.9)