「ここやな」

「すごーい!いろんな学校の人たちがいるね!」



俺とは今、全国大会の組み合わせ抽選会場にいる。


俺ら四天宝寺は全員で東京にやってきたんやけど、 俺・小石川の部長と副部長は全国大会の抽選があるために皆と別行動中。 そしてその他の連中は今頃次の準決勝・決勝試合の行われる、有明テニスコートに 下見に向かっとる。

・・・え?

小石川と俺が抽選会場におらなあかんのに、何で今と2人で抽選会場におるかって?



それはやな、俺がマネージャーのに片思いしとるからや。


は当初の予定では下見グループの方に属してたわけやけど、 小石川は俺の気持ちを知っとるから、に「抽選会場にいってくれへんか?」と 交代を申し入れたらしい。つまり小石川は俺に気ぃ遣うて もう片方のグループについていきよった・・・っちゅーワケや。


俺としては部活とプライベートは分けな、って思うてたし何も此処までせんでも 良かったのにと思うたけど、まぁ・・・嬉しいに越したことはないし小石川には大感謝や。

移動も全部と2人やし、傍から見ればカップルなんかなと思うたりする。
知らない東京の街を2人で移動してデート気分。
ま、まぁ俺はにかっこ悪いとこ見せたくなくて前日までに交通手段や交通費の 確認を行って、スムーズに案内できるようにしといたけどな・・・!その甲斐あって、 此処までしっかり案内できて良かったわ。

が切符や路線図を見て、いちいち俺に頼ってくれるのがめっちゃ嬉しい)




「蔵がいてくれて良かったよー!私なーんにも考えてなかったから」

「ははっ!でも俺は去年も来てるからな。何となく知ってただけや」

「あ、そっか!それにしてもやっぱり、いろんな制服の人たちがいるね。 なんか緊張するかも」

「せやな」



はキョロキョロと会場を見回す。俺はこんな雰囲気は慣れたもので 淡々と順路に沿って会場に向かって歩く。もちろん、の速度にあわせて。

は緊張する言うてるけど、俺も実はある意味緊張してる。
と、いうのもこの会場には不安要素が多いからなんやけど・・・・・

不安要素っていうのはつまり、この抽選にやってくる全国大会常連の 部長たちや。どういう事かというと、その・・・個性派揃いやし・・・ 何気にイケメンが多いしな・・・!!が目移りしてもうたらどうしよって 思うわけや。


此処だけの話、は他校生に人気がある。
人気どころかリアルに狙いにくるヤツも仰山いてるっちゅー噂や。
関西のヤツがの事知ってるならまだわかるで?
でもな、全国大会の奴らにも人気やねん!なんや可愛いマネで有名らしいわ。

は可愛いで。それは認めるけど、でもはウチら四天宝寺のモンやねん。
(行く行くは俺のモンになって欲しいけど)




「全国常連の人たちに会えるの楽しみだねー!*」

「ははっ!せやな。謙也も言うとったしな、青学のルーキーがヤバイて」

「立海の幸村くんは入院して手術受けたって聞いたけど大丈夫かな」

「せやな・・・。無事顔見せてくれたらええんやけど」



軽く会話を楽しみながら、俺たちは席についた。
そしてそのまま抽選が始まった。









抽選はいろいろとオモロイことが起きた。

例えば青学の手塚クンが復活して会場に足を運んでくれたりな。 俺も含めて会場中の皆が嬉しそうにしてはったわ。 全国の上位常連校はええ感じにバラけてくれたし、 とりあえずは安心や。(立海と1回戦で当たったら適わんしな)

順当に勝ち進めば青学とも当たる。なかなかオモロイ組み合わせや。



「青学、今年来るかもしれへんな」

「うん!金ちゃんも青学のルーキー君と戦いたいって言ってたし、 どこかで当たるといいね」

「せやな」



抽選終了後、皆が席を立ちざわざわしていた。
よし。が他の学校のやつらにナンパされる前に早よ帰らな!

俺が「、皆と合流しようや」と言った丁度そのときやった。



「よう。今年もやはり来てたのか。アーン?」



出た・・・!!!不安要素その1、氷帝の跡部クンや・・・!



「あ、跡部くんだ。久しぶり!」

「跡部クンやんか。去年の大会ぶりやな」

「よう白石。相変わらずだな」



跡部クンといえば全国レベルでのファンクラブの持ち主やし、テニス部で知らんやつはおらんわ。 それにあないかっこええ顔してはるし、テニスもトップクラスの実力の持ち主やしな。 俺と跡部クンは去年からこの会場で顔合わしてるし、お馴染みの顔合わせっちゅー事や。

跡部クン、やたらと絡みたがんねんなぁー・・・。
今だってちゃっかりの髪の毛指でいじりながら「髪伸びたなお前」とか言うてるし!



「跡部クン、今年の氷帝はどんな感じなん?」


そう言いながら跡部クンからを引き剥がす俺。
跡部クンはちょっと不機嫌そうな顔をした。


「今年も俺様の辞書に敗北の文字はない。四天宝寺こそどうなんだ?」

「今年はおもろいルーキーもおるし、強いでぇ。」

「フン。ならどうだ?ウチと四天宝寺が当たって・・・勝った方がを貰えるっていうのは」

「なっ何で私が関係すんの!?」

、四天宝寺から氷帝へ来いよ。何なら俺様が全て手配してやる」

「跡部クン、何でもお金の力で解決すんのはアカンわ」


俺らが会場廊下で立ち止まって、騒いでたら不安要素が更にやってきた。


「白石、。久しぶりだな」

「ん?おー、手塚クンやんか!」

「手塚くん!」


不安要素2は青学の手塚クンや。
綺麗な顔してクールで・・・此方も全国トップクラスの実力と顔の持ち主や。


「フッ。来たな手塚」

「跡部か。」

「手塚クン、怪我が酷かったって聞いたけどもう完治したん?」

「ああ。問題ない」

「フン。関東大会での借りは必ず返させてもらうぜ」

「楽しみにしている。」

「手塚くん、ウチの千歳が手塚くんと試合してみたいって楽しそうに話してたよ」

「そうか。俺も楽しみにしている」

「千歳・・・。九州二翼の千歳か。なんだ今は四天宝寺にいんのか」

「今年転校してきたんや。せやからウチに死角はないで」

「青学のルーキー君と試合することを、うちのルーキーも楽しみにしてるみたいだよ」

「ふ・・・そうか」


ん・・・?なんか手塚クン、を見るときの目・・・柔らかない?
しかもなんか今もと会話広げて楽しそうに話しよるし!!え!?手塚クンも 狙っとるか!?
俺の焦りを尻目に不安要素がまたまたやってくる。


「おや?これは蒼々たるメンバーが勢ぞろいじゃないかぁ〜♪ラッキー♪」

「あ、山吹の千石くんだ!久しぶりだね☆」


・・・!去年、跡部クン・手塚クンと同じく1年の頃から全国大会の会場での顔なじみ、 山吹の千石クンや。確かJr.選抜に選ばれとる折り紙付きの子やねんな。 確か1年の頃、の事ナンパしてきたんやっけ・・・。危険やわ・・・!


ちゃ〜ん!!!相変わらず可愛いなぁキミは。こーんなむさ苦しい会場の 唯一のオアシスだねぇ」

「あははっ* ありがとう」

「もちろんちゃんは今彼氏とかいないよね??」

「うん、いないよ」


コラコラコラ!!彼氏おらん、言うたらアカンやろ!
今跡部クンと手塚クンの目つきが変わったやんか!!(特に跡部クン!!)


「ほう。、お前いないのか」

「あ、うるさいなぁー跡部くん。いいよね、自分はモテるからって」

「お前ならいつでも俺様の隣に置いといてやるさ。どうだ?」

「遠慮しとく」

「うーん俺ってラッキー♪ちゃん、俺も今彼女いないんだ。だから俺たち、 もしかしたら運命かもしれ・・・」

「へー!千石くん1年生の時からたくさんナンパしてるのに、未だに彼女いないんだね」

「ははは・・・。相変わらず冷たいなぁ。でもそんな所がカワイイね!!」

「千石クン、うちのマネージャーをナンパせんといてくれるか」

「おおーっと・・・。これまた相変わらずイケメンだなぁ。白石くん」

「白石、久しぶりだな。ウチの部員が迷惑をかけてすまない」

「ホンマやで!!って、ええーと・・・んん?すまん、名前なんやったっけ」

「南だ!!!!!」

「ああ南くんな!!わざとやないねんで、堪忍な」


全国の猛者たちがを囲むようにして、と喋ろうと必死や。
も付き合いとノリがええからな・・・!跡部クンさっきからボディタッチ多いねん! 手塚クンも表情緩みすぎ!千石クンも馴れ馴れしく話しすぎやし、南くんも が南くんの事覚えてたからってテンション上がりすぎや!!

しかし、俺の気持ちとは裏腹にどんどんライバルが集結してくる。


「あれ?ちゃんに白石、手塚に跡部に千石に南・・・凄いメンバーが揃ってるじゃないか」

「わー!!!サエさん、あれが噂の四天宝寺のマネージャーさんなんですか!?」


う・・・!この爽やかボイスは間違いない。


「六角の佐伯クンか」

「やあ。ふふっ、相変わらず可愛いね、四天宝寺のマネージャーは」


コラコラ!さっきから佐伯クン、このメンツの中での事何気なく一番に呼んだり、 今もに爽やかスマイル向けて点数稼ぎしてるやろ!!


「あ、佐伯くん久しぶりだね!」

ちゃん久しぶり!今日は君に会うのが一番楽しみだったよ」


佐伯クン・・・、言ってる事はほとんど跡部クンや千石クンと変わらへんのに 何か爽やかやなぁ・・・。も笑ってるし。


「あははっ!いろいろ聞いてるよ。今年の六角の部長は1年生なんだってね」

「こんな可愛い子が僕の事知っててくれた・・・!これはチャンスかも・・・。 僕、葵剣太郎っていいます!!宜しくお願いします!!」

「へぇー!1年生なのにしっかりしてるね。」

「ホンマやな。ウチのゴンタクレとは大違いや・・・」

さんって言うんですね!!いやー、可愛いですね・・・」

「あははっ、ありがとう」

「ああん?六角の1年坊主、あんま出しゃばんじゃねーぞ。は俺のモンだ」

「いや、はそんな事望んでなんかいないぞ跡部」

「言うじゃねーの手塚」



ああああ・・・こない個性的なメンバーばっかり揃うたら、 俺のツッコミと牽制が追いつかへん!あかんわ、早よ会場出て 2人っきりにならな!



「・・・あれ?そこにいるのはもしかして、かな?」



・・・ん!?この声はまさか・・・

俺を含むその場にいる全員が振り向くと、そこには入院していると噂の立海・幸村の姿があった。
え!?でも幸村クンってさっきまで抽選会場におらへんかったと思うんやけど!!
幸村クンとも1年の頃から全国で顔合わせしとるし、去年も立海とは準決勝で当たっとるからなぁ。 の存在は勿論知られとるし、普通に友達みたいやしな・・・
皆口々に「幸村!?」って大きめの声で叫んだ。



「っえー!幸村くんが何で此処に!?今日きてたの!?」

「フフ。実は今病院の帰り道でね、そこまでタクシーで来てたんだ。」

「体はもう平気なの?」

「ああ。今日は簡単な診断だけだったしね。弦一郎が此処に来てるはずだし、 少し顔を見せたくて寄ってみただけさ。に会いたかったし運が良かったな」



完全に俺らの事無視で話を進めとるな・・・!さすがやわ、幸村クン。



「幸村。もう良くなったんやな」

「白石か。ああ、すっかり良くなったよ」

「去年の借りは返させてもらうで」

「ああ、此方も楽しみにしているさ。キミの実力も今年こそは見ておきたいし」


と、そのときだった。
俺たちが立ち止まって会話をしているそこに大きな怒鳴り声が響く。
何事やと思うたけど、そのデカイ声発した人物見て全員が納得した。


「コラ!!!!貴様ら、そんなところで立ち止まるな!! 通行の邪魔だ!!!」


やっぱ立海の真田クンか。
相変わらずカッタイなぁ。それに去年にも増して 大人っぽくなってるわ・・・。真田クンは立海のBIG3の1人やけど、ある意味 「青学の手塚」「氷帝の跡部」「立海の真田」の3人は年齢不詳のBIG3な気ぃするで・・・。 (その3人が揃うとるし、これはレアやな)

真田クンの声にびびってほとんどの子は「ヒィィ!」と怯えた。
さすが真田クンやな。いかなることがあっても正義感漂ってはるわ。
唯一不安要素のない人物といえるで。



「やあ真田。抽選結果はどうだった?いいくじ引けたかい?」

「む・・・。幸村、来てたのか」

「あっ、真田くん!久しぶりだね。今年は帽子まっすぐに被ってるんだね☆」

「・・・!!四天宝寺か。あ、ああ・・・」



・・・ん?真田クン、今と目が合った瞬間絶対照れたよな!!??
あかん・・・!!真田クンもを狙う1人やったんやな・・・!!

く・・、やっぱ此処は危険や。早よ此処から離れんと!



!そろそろ出発せな、皆との集合時間に間に合わんようになるで。行かへん?」

「もうそんな時間!?わかった」


すると俺以外の奴らが全員嫌そうな顔をする。めっちゃ怖いけど俺も此処は譲れへんし。 悪いけどは俺のモンや。俺は少し勝ち誇ったような顔をして「ほなまた全国大会で」とつげ 彼らの前を去っていった。









ガタンゴトン・・・と揺られながら俺とは移動していた。
現在、抽選会場から四天の皆との集合場所まで向かう電車内。 会話はさっきまでの抽選結果の話になったり、金ちゃんの心配をしたり。

いろいろと話は弾むけど、俺は内心少し気になる事があった。
・・・それはやっぱり全国の早々たるメンバーに、が心奪われてへんかって事。



「・・・なぁ

「ん?どしたの蔵」

「その・・・さっき、跡部クンら見てな?やっぱかっこええって思うたん?」


・・・何言うてんねやろ俺・・・。
でも気になるトコやし聞いとかなアカンよな。


「あははっ!そうだね、なんか1年ぶりに会っただけなのに皆かっこよくなってたよね」

「・・・!」

「跡部くんや手塚くん・幸村くん・佐伯くんは相変わらず綺麗な顔してたし、 千石くんや葵くん・南くんは可愛い顔してたし、真田くんもかっこよくなってたね」

(や、やっぱりそうなんやな・・・)


まぁそれは俺も気づいとったけどな。でもから聞くと凹むわ。


「・・・でもね、私1つ気づいちゃった」

「・・・え?」


は楽しそうに笑いながら、俺の膝にちょこん、と手を置いた。


「うん、四天宝寺の皆も関西の学校の人たちも、全国の強豪の人たちも たーーーーくさんの学校の人を見てきたけど・・・」

「見てきたけど?」

「・・・やっぱり私は、蔵が一番かっこよく見えるなーって*」



!!!!


俺はその瞬間、ゲホッゲホッと咽込んでしまった。
はそんな俺を見てあははっと楽しそうに笑った。
え?それはつまり・・・・・・・・その・・・・・・・・



、もしかして」


するとは可愛く笑いながら俺の唇に人差し指を少しだけ添えて。
ガタンゴトンと煩い電車の音を気にしてか、周りをキョロキョロ見回し 俺の左耳を両手で囲い、俺の耳元でそっと耳打ちをした。



「そりゃ好きな人が一番かっこよく見えるでしょ」



全国区のあのメンバーが可愛いって噂しとるくらいは可愛い。 そんな事とうの昔から分かりきったことで、当たり前の事実や思うててんけど 改めて俺は断言するわ。

アカンわ。この子、ホンマ可愛い。



J O K E R !?
ハ ー ト の エ ー ス に 見 せ か け て 、 実 は ? ?




(10.3.5)