星雲レモネード

Simple is the best...

































「越前くん、やっぱ有名になっちゃったね」

「そうだね・・・」



全国大会決勝を見事に決めたリョーマくん。

相手は今テニスしてる中学生で一番強い立海の部長だったらしく、 それに勝ってしまった。かと思えばそのあとのU-17日本代表にも中学1年生ながら抜擢されて 月刊プロテニスどころか色々とメディアで取り上げられて凄い存在になってしまった。



「入学したときから凄かったけど入学してからもっと凄くなったよね」

「手塚先輩のときも凄かったみたいだけど、リョーマくんも凄いよね」

「同級生にそんな子いるとか最高じゃん。も有名になる前に付き合えるなんて凄いよ」

「う、うん」

「越前くん、これからどんどん有名になっていくんだろうなー。
10年後に同級生ってこと自慢できそうだね」




リョーマくんは本当に凄い。
特にここ最近の活躍は凄すぎて、今まで気軽に喋ってたリョーマくんが遠い存在になってしまったような・・・・!

テニスに忙しいから最近は会ってないしね。

メディアの方がリョーマくんのこと、よく見かけるようになっちゃったかも。




「あっでも今度久々に登校してくるんだっけ!?」

「うん」

「良かったじゃん。一緒に帰れるね」






友達には一緒に帰れるね、なんて言われちゃったけど出来るのかな。
一緒に帰って大丈夫???リョーマくんの迷惑に色々なったりしない???











リョーマくんとはクラスが違うから、連絡はいつも携帯でポチポチ。
朝いつもみたいに「おはよ」って送ったらお昼前に「おはよ」って返事がきてた。

・・・ぷっ、午前中の授業寝てたんだろうな。


今日は顧問の先生が出張するから部活が強制的に休みらしく
一緒に帰れるってリョーマくんが言ってくれた日だからすごく楽しみだけど
なんだかとっても不安。リョーマくんが遠い存在になっちゃったみたいで・・・・・・・・


「本当に一緒でいいの?」って文字入力したけどそれを消した。
リョーマくん、有名になっちゃったしモテモテだし注目されまくってるしかっこいいし。
でもそんなこと言っちゃったら「うざ」って思われそうだから言えないよ・・・・・・

楽しみなハズなのになんかちょっと不安。帰り道、何話そう?




帰りのHRが終わりチャイムが鳴った。

今朝から久々の登校ということでリョーマくんはよく人に囲まれているみたい。
うちのクラスの人たちもみんなリョーマくんを見に行ってたし、上級生たちもそうだったみたい。

私は今日、会えてない。いや、今から会えるはずなんだけど・・・


無事会えるのかな・・・・・・。冷やかされたりしてリョーマくんの邪魔にならない?
モテモテだから私がいないほうがいいんじゃないかな・・・・

やっぱり今日は一緒に帰るのやめよって言おう。


携帯を取り出したその時だった。








「・・・・・!」

「何してんの。全然来ないから来てみたけどHR終わってんじゃん」

「リョーマくん・・・・!」




教室のドアのとこにリョーマくんが立っていた。
(なんかギャラリーも凄い数いるけど・・・!!)




「全然来ないから勘違いしてると思ったじゃん。ほら行くよ」

「いや、でも・・・・・・リョーマくん・・・・・今日人気者だし・・・・・・!やめといた方が」

「・・・は?何言ってんの。行くよ」

「・・・・」




リョーマくんは歩き出したけど、ついてこない私に気づいてまた教室に戻ってきた。



「・・・・・どうしたの。元気ないじゃん」

「なんか・・・・ここ最近のリョーマくんの活躍と知名度の上がり方が凄くて・・・・私と歩いてて大丈夫かなって、 思っちゃってて・・・・・・」

「!」

「リョーマくん雑誌でよく見るしメディアにすごく取り上げられてるし・・・・・遠い感じがして」

「・・・・・」




うわーーーー私のバカバカバカ。
リョーマくんの目の前でいきなりネガティブなこと言ってどうするの!
困らせちゃってるじゃん。違う、違うんだよ。困らせたいわけじゃないの。




「・・・・はぁ。さっきから何かと思えばそんなこと?」

「えっ」

「・・・・・俺は楽しみにしてたんだけど。ずっと」

「え・・・」




リョーマくんは呆れながらいつものようにそういった。
なんだかその「いつもの感じ」に安心して、私は顔を上げた。




「俺は別に遠い存在になったつもりなんてないし」

「ご、ごめん」

「勝手に遠ざけないで欲しいんだけど」

「そ、そうだよね・・・・・!」


全然会いに来ないし。来るの待ってたんだけど」

「リョーマくん・・・」

「遠ざけてないってこうやったらわかる?」

「うわっ!?!?」




リョーマくんはちょっと照れつつも私の手をぎゅっと繋いでくれた。




「りょ、リョーマくん!学校の外とかマスコミの人待ち伏せてるよ!?」

「悪い?」

「え・・・いや、悪いとかじゃないけど・・・!!」

は外野気にしすぎ。外野じゃなくて、見るのは俺にしといて欲しいんだけど」

「・・・!」

「俺がいいんだからいいの」





リョーマくんのいうとおりだった。

勝手に私が遠ざけて、勝手に不安になってただけだった。
リョーマくんはいつもと変わらない。変わっていたのは私がリョーマくんを「見る目」。


「何とぼけたこと言ってんの」っていつものように呆れるリョーマくんを見て安心した。
・・・呆れられてるのにね。なんかそれがとっても嬉しい!




ざわざわ騒ぐギャラリーの人たちから「付き合ってるの!?」と質問が飛んできた。
するとリョーマくんはフッと生意気に笑ってこういった。





「そ、俺の彼女」







世界を敵に回しても(21.9.25)



It’s OK if I turn this world
into my enemy