見上げる夏の花
She is sunflower girl!

































「あ、雨」

「・・・・ホントだ」

「・・・・えっ、ちょっと強まってない!?」




いつものようにリョーマくんと一緒に帰っていたら、突然雨が降り始めた。
その雨脚はすぐに強まり始め、ザァーッという大きな雨音が街に響き渡る。
傘を持っていない私たちは近くにあったコンビニに駆け込んだ。



「最悪。テニスバッグずぶ濡れ。」

「あー私も制服がずぶ濡れ。タオルタオル・・・」



私は部活で使わなかったタオルがあったことを思い出し、バッグから取り出した。
ちょうど2枚あったので1枚をリョーマくんに渡した。

リョーマくんはい、と手渡すと「ん。」と受け取ってくれるこの自然さが嬉しい。



「今日雨降るって言ってたかなぁ・・・」

「・・・そーいや桃先輩が雨降るかもって練習中に言ってた気がする」

「あー・・・桃先輩が言ってたんなら確実だね」

「あんなにガンガン晴れてたから英二先輩も大石先輩も"ありえない"って言ってたけど」




空を見上げると雨脚は強くなる一方。地面にたたきつけられた雨が跳ね返ってくるほど。
空も暗くなっていき次第にゴロゴロ・・・という音も聞こえ始める。




「えっ!!!!雷鳴ってる?」

「ほんとだ。賑やかだね」

「なんでそんなに落ち着いてるのリョーマくん!」



雷が怖いまではいかないけど、ここまで空がピカピカ光っているとちょっと怖い。
空も凄く暗くなってきたし雨も止むのかな。なんか歩道も水はけ悪くなってきたし・・・・
私が不安そうな顔で空を見上げていると。




「!」




隣からリョーマくんが私に帽子をかぶせてきた。



「っ!!ビックリした。何これ」

「ずぶ濡れ帽子」

「ちょっと、そんな帽子かぶせてこないでよ」


にそんな顔は似合わないね」




・・・・・・・・・え????




私は少しだけ濡れた帽子を頭にのっけたままリョーマくんの顔を見た。
すると「いつもばかみたいに明るい顔してるじゃん」と可愛くない一言。



がそんな顔してるの珍しすぎて調子狂う」

「そ、・・・・・そうかな」

「だからそれ被ってれば?そしたら空も見えないでしょ」

「・・・・!」



リョーマくん・・・
もしかして私を気遣ってくれてるの??

でも・・・相変わらず素直じゃないなぁ!リョーマくんの遠回りな言い回しが なんかおかしくなって私はクスッと笑った。それを見たリョーマくんは少し嬉しそうな顔をした。



「・・・・あれ。さっきより雨弱くなったね」

「本当だ!」



コンビニの軒下から両手を伸ばして確認すると雨が突然弱まった。



「じゃあ行くよ」

「へ!?」

「今のうちに帰るよダッシュで」

「え、ええ〜!?」



リョーマくんは私の腕を掴んでコンビニから勢いよく飛び出した。
私は「ちょっと待ってリョーマくん!」と言いながら片手で帽子を押さえて走る。

「まだまだだね」と嬉しそうに呟いた彼の横顔が私にとっては眩しい。



(相合傘という発想はなかったのかしら、、)


花=あなた(18.8.14)



Happy summer Valentine!

You are No.1 Ryoma Echizen.