なんなの。


なんなのなんなの!



なんでリョーマくんは冷たいの!






越前リョーマことリョーマくんがクールで生意気な少年ということは、周知の事実だ。
これは私も知っている。先輩に対して物怖じすることない態度・それに伴う実力・ 生意気な口のきき方。テニス部の3年生の先輩たちが「生意気なルーキー」と 彼を称するのもピッタリな表現だと思う。


そんな彼は3年生の先輩だけじゃなくマネージャーの私にまで生意気だ。

ドリンクを作れば「味、安定しないね」。(だったら飲むな!!)
タオルを差し出せば「持ってるんだけど。」(言い方!)
「リョーマくん凄いね!」と褒めれば「何当たり前なこと言ってんの?」!

超生意気!



私にはこんな態度を取るくせに、ちょっと外野の女の子がリョーマくんに黄色い声を上げたら
「ども・・・」って素気ないながらも彼にしては愛想のいい態度をとる。


(なんなの!?)




リョーマくんは入部してきたときからなぜか私にはほぼタメ口。
最初は馴染んでくれたのかな?とか帰国子女だからかな?とか思ったけど
手塚には敬語使ってるしそれは違うと気づいたのはつい最近の話。

桃はそういうの全く気にしてなさそうだから、相談できないし
そもそも他の2・3年生はそれなりに敬語を使ってるから私の話は信じてもらえない。



「ねぇ先輩、あとで冷たいタオル欲しいんだけど」

「あっはいはい。じゃあ部室から追加で持ってくるね」

「あ、部室戻るならついでに俺のラケットもう1本持ってきてくんない?ロッカーのカギ空いてるから」

「リョーマくん凄く私をコキ使うの上手いよね。まったく!」

「どもっす」

「褒めてないからね」




するとその時コートの外から女の子複数人が「「越前くーん!!!」」と叫んだ。
リョーマくんはそれに気づいて小さくぺこっと会釈した。すると女の子たちはキャキャー喜んだ。

それを見ていた私はリョーマくんに直接抗議する事にした。




「・・・・・練習見に来た女の子には愛想よくするのに、なんで私にはいつも冷たくするの」

「・・・・・・・・そうだっけ?」

「そうだよ。いつも可愛くない事ばかり言うんだから」




なんで私ばっかりこんなに他の人と扱いが違うのか・・・!
私のクレームを受けてリョーマくんはどんなこと言うんだろう??
困ったか?すみませんと言っちゃうのか?どっちだ!?

リョーマくんの表情がどんな風になっているのか、私はニヤニヤと視線をうつす。
でもリョーマくんはなんか何かを企んだような笑顔で私を見ていた。



(!?)

「・・・・・あれ?先輩それって」

「?」




「俺に冷たくされるとイヤって事?」




「・・・・・・・・!!!!!」




その瞬間私の顔が熱くなる。「えっ、えと、そういうワケじゃっ・・・」と否定の言葉を 必死に練ってはみるけど全然上手い事言葉が出てこない。

リョーマくんはそんな私を見てニヤリと笑うと。

私の耳元でこう囁いた。





「う・そ・つ・き」













じゅんちゃんの声ってなんであんなにキュンキュンするんでしょう!(17.8.27)