「おい。お前ほんとに女か」

「????????」







夏休みのある日の事だった。

夏休みということで午前から午後までみっちり部活の本日・・・
照りつける太陽は今日も厳しくて暑くて暑くてたまらない!

だから休憩中の今、ジロちゃんと一緒にアイスを食べていたんだけど

跡部に急に女じゃないって言われたどういうこと!?



「・・・女じゃないってどういう事!?私何もしてないよね!?」

「どういう食べ方してんだお前は。下品だな」



跡部の言っている意味がわからない。

私が頭上にはてなを浮かべて首をかしげていると、跡部ははぁとため息をついた。



「暑いから食べるのはわかるが、普通スイカに棒つきさして食べるか?バーベキューじゃねぇんだぞ」

「はー!?あんたこそ何言ってんの」



私が今ジロちゃんと食べているのは、スイカバーというアイスだ。

スイカの味をしたアイスなのはもちろん、スイカの形をした小粋なアイス。
小さい頃からなじみのあるアイスの1つだと思う。


私はスイカバー越しに跡部を見て考えた。

さっきの跡部の発言といい・・・スイカバー・・・・・・・・・



「跡部、これスイカバーっていうアイスだから。別にスイカに棒つきさして食べてないから」

「スイカバー???何だそれは

「えー* 跡部スイカバー知らないのー?」

「知らねぇよ」



やっぱりね!!!!!!!!!!

(スイカバーという庶民のアイスを跡部様は知らないのか!)



「跡部、これスイカ味のアイスなんだよ!スイカの形して可愛いでしょ??」

「スイカって・・・water melonの事だろ?アイスにしなくても冷やして食べるだろ」

その発音めっちゃムカつくんだけど。

「跡部発音うっめぇー!!」

「冷たくして食べるスイカを、わざわざアイスにしなくてもいいだろうが」

「分かってないな跡部ー!」

「スイカはwater melonっていうぐらいだから、みずみずしさが売りだろ。 それをわざわざ凍らせたらスイカの醍醐味削ってんだろ」

「ちょっとジロちゃん聞いた今の!」

「ねー。こんなにおいしいのにねー」


「跡部スイカバーの事何も分かってない。スイカ食べたいってときにスイカ買うと スイカでかいじゃん。1人じゃ食べ切れないじゃん。」

「・・・」

「それにスイカって種取るのめんどいし、みずみずしさが裏目になって手が ベタベタするし。そんな面倒な思いをしなくてもスイカが楽しめちゃう、夏の風物詩なの! 風鈴と一緒!」

「あ?種も食えんのかよ」

「そう!!!!!チョコチップで出来てるんだよ!」

「ふぅん・・・」




跡部は興味深そうにスイカバーを見つめた。

(今更ながら、スイカバーと跡部が同じ視界に入るってちょっとシュール・・・




「庶民の考える事はわからねぇな」

「うわーまたばかにした!」

「スイカにチョコレート・・・種が嫌ならスイカ味のアイスでいいだろ」

「跡部ばか!ほんとばか!分かってない!」

「ああん?」

「種がないとスイカらしさがないでしょ!!」

「スイカなんざ高いフルーツでもねぇし手の届くものなのにな。
むしろスイカ自体が庶民のフルーツの代表格だと思っていたから、 そのスイカをさらに庶民が庶民風にアレンジされているのは言いがたく理解出来ない世界だ。 いや、しかし庶民に馴染みのある味を商品化するところに庶民の心を 掴むテクニックがあるのか・・・」

「何難しい事考えてんの。いいの、おいしければいいんだから!」



私がそういうと跡部はあきれた顔をした。



「・・・ま、それもそうだな。スイカを楽しんでる事には違いねぇ。夏らしくていいかもな」




どうやら跡部にとって、スイカバーを食べる人というのは珍しかったみたい。
まるで日本の文化に驚く外国人のように跡部はおもむろに携帯を取り出して、 スイカバーを頬張る私とジロちゃんの事をパシャッと撮った。



「あ!勝手に撮った!」

「いーだろ。別に」

「そんなに珍しいわけ??跡部にとって」

「ああ。・・・・・・・日本の夏にはスイカバーか。覚えておく」



跡部にメロンバーっていうのもあるよって教えたかったけど
跡部がまた庶民の事が分からなくなっちゃだめだから
これはまた今度教えることにしよう。




summerっていうのは「避暑する」っていう意味にもなるんですね! 勉強になりました。(11.7.27)